質問:イオン飲料を飲ませているとビタミンB1欠乏症になってしまうというのは本当ですか? 夜泣きをしたときなどに飲ませているのですが……
答え:ビタミンB1欠乏症は、イオン飲料の「飲み過ぎ」で満腹になり「ほかのものが飲めない(食べられない)」ことによるものです。ただしイオン飲料そのものがとくに身体にいいわけでもありません。糖分は思っているより多めなので虫歯の心配はあるでしょう。
答える人 石橋涼子先生(石橋こどもクリニック院長)
「イオン飲料がただの水より身体にいい」という誤解があるようですが、スポーツで大量に汗をかいたときに飲むといった用途以外では、とくに栄養的なメリットはありません。
イオン飲料には水と糖と、塩化ナトリウムやクエン酸ナトリウム、カリウムなどの「電解質」が成分として入っています。汗をかくと水だけでなくこれらの電解質も流れ出してしまうので補給の必要があるのですが、普通に授乳や食事ができていればそれで十分に補給はできているので、イオン飲料を飲まなければいけない理由はありません。
また、食中毒やウイルス性感染症などで嘔吐や下痢症状が出た場合の脱水治療用には、スポーツ飲料よりもナトリウムが多く含まれている「OS-1」が市販されています。スポーツ飲料はナトリウムが少なくて脱水治療には向いていません。
ミルクの飲み過ぎによる肥満が気になるのであれば、水や麦茶を飲ませるのが理にかなっています。一般のスポーツ飲料は糖分が多く、そもそも肥満防止には向いていませんし、虫歯の心配もあります。
糖分が多いので好んで飲む子も多いのですが、ビタミンB1はまったく入っていません。飲みすぎてお腹いっぱいになってしまい、母乳や離乳食を摂らなくなってしまうとビタミンB1欠乏症となり、脚気などの神経症状が起こることが稀にあります。ふだんの生活で飲む習慣をつけさせるのはおすすめできません。
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