2024年12月23日(月)

70点の育児入門

2017年4月18日

質問:子どもが熱を出すとあっという間に40度近くまで上がってしまうことがしばしばで、不安になります。昔から「40度を超えると危険」と聞かされてきたので後遺症が残ったり、場合によっては生命の危険まであるのでは……と思ってしまいます。いったい何度からが「高熱」なのでしょうか?

答え:はっきりした定義があるわけではありませんが、38.5〜39℃以上を高熱と考えるのが一般的だと思います。また、熱が何度を超えたから危ない、というわけではなく、むしろ症状の変化のほうをよく見る必要があります。

答える人 石橋涼子先生(石橋こどもクリニック院長)

石橋涼子(いしばし・りょうこ)
東京大学医学部卒業。大学での研修の後、NICU、総合病院、障害児施設などに勤務。1996年からまつしま産婦人科小児科病院(現・まつしま病院)小児科部長、2005年1月に東京・江戸川区小岩に石橋こどもクリニックを開院。

 「どこからが高熱か」というはっきりした定義があるわけではありません。大人であれば、38℃をこえると「高熱」という感じがしますが、子どもは平熱も高めですしちょっとした病気でも体温は高くなりやすく、38℃台で「高熱」というのはちょっと言いすぎかと思います。

 熱が高いから重い病気である、ともかぎりません。肺炎・髄膜炎など重い病気で熱が高くなることが多いのは確かですが、軽い病気でも高熱になることは珍しくありません。代表的なのはほとんどの子どもが生後6カ月から2歳くらいの間にかかる「突発性発疹」で、あっという間に40℃を超えることもあり、びっくりした経験をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。プール熱なども熱は高く、長く続きがちですが、重症になることはまれです。

 もちろん、熱がまったく下がるようすがなければ「よくなってきてはいない」という判断材料にはなりますし、熱のピークが下がってくれば「よくなりつつある」と考えることができます。つまり熱の変化は、症状を判断するひとつの材料にはなります。ただし身体に悪いのは高熱そのものではなく、高熱をきたしている原因である病気です。逆に熱が低めであっても、ぐったりしていたり顔色が悪い、呼吸が苦しそう、などであればむしろ病気としてはこのほうが重い可能性があります。

 重要なのは体温の数字そのものではなく、どんな症状で、どう変化しているかです。熱が上がってきているのか、下がってきているのか、咳や嘔吐下痢などがひどくなっているか良くなってきているか、食事や睡眠はとれているか。そういう症状全体の変化に目をむけていただきたいと思います。

  
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