財政破綻の悪夢が、現実味を帯び始めてきている。財政再建に必要なのは、歳入の増大と歳出の削減だが、先の参院選では、菅総理の増税発言が波紋を呼び民主党が大敗。消費税増税による歳入の拡大は当面難航が予想される。また政府は7月27日、概算要求に対し一律1割削減の決定を下したが、900兆円を超える莫大な借金を解消するためには、社会保障費にも切り込んだ大胆な歳出の削減が必要なはずだ。しかし、世界一のスピードで高齢化が進むこの国で、高齢者に不利な政策など通るわけもなく、ツケを回される若者の側にも政治を変えるために自ら立ち上がろうという気力は見られない。
下のグラフは、このまま財政赤字が拡大していった場合、10年余り先で国債残高が家計金融資産を上回ることを試算したものだ。現在、日本の国債は95%が国内で消化されており、「だから大丈夫」という声は根強い。しかし、たった10年余り先に国内で消化しきれなくなる日が訪れるかもしれないのだ。財政破綻が起きた場合、いま30代40代である私たちの世代の生活は、どのような影響を受けるのだろうか。
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財政破綻が起きたらどうなる?
「財政破綻が起これば、国の債務の多くが返済不能となって国債を多く保有する金融機関や年金基金などは行き詰まり、結局国民の金融資産の多くが消えることになります。過剰な国債発行によって経済にばら撒かれたお金の価値も一気に減じて、インフレや金利の高騰によって多くの企業が倒産し、大量の失業者が発生するでしょう。さらに、円安が起こることによって、輸入品が総じて高級品になることもインフレをさらに押し上げる要因となり、輸入に頼って生きている日本人の生活水準を押し下げると予想されます。こうなれば、公務員や多くの労働者、年金生活者などの給与・年金の遅減配が起こるとともに、たとえば10%以上となってもおかしくないインフレによって可処分所得は大幅に目減りすると考えられます」(みずほ総合研究所・チーフエコノミスト・中島厚志氏)
たとえば、小学生の子どもを2人持つ40歳既婚の男性が、手取り30万円もらっていたとして、可処分所得が20%目減りしたとすれば24万円となる。子どもの教育費や住宅費など家計に余裕がない中でこれだけ大幅な目減りに遭えば、これまで通りの生活を続けていくことは困難になるはずだ。もちろん20%というのは仮定の話だが、財政破綻によるインフレや金利大幅上昇の中では実質的にこれくらい可処分所得が下がることは十分にありうる。
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