2024年12月22日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年10月24日

 ハルボーンEU駐中国商工会議所会頭が、中国が海外からの投資を必要とするなら「市場アクセス」を改善すべしというEUの主張を、9月18日付けウォール・ストリート・ジャーナル紙に寄稿しています。要旨は次の通りです。

(iStock.com/vDraw/DigitalVisio/K-King Photography Media Co. Ltd/Mike Watson/Matthias Pahl)

 中国は2017年、繰り返し経済のグローバル化と対外開放を促進する改革への意欲を表明してきた。中国は01年にWTOに加盟して以来、多くの利益を獲得してきたし、今日も外国からの投資を必要としているからだ。しかし、数年前の三中全会で示された改革案(注:13年中央委員会「改革の全面的深化に関する決定」)は実現していない。中国はその確固たる意志を明確にし、約束した改革を確実に前に進め、貿易と投資の双方で市場への双方向的アクセスを提供しなければならない。

 17年1月のダボス会議で習近平は、外国投資家の市場へのアクセスを拡大し、市場の透明性と規則性を高めることを宣言した。同月、国務院はその計画に関する5号文件を出し、8月には39号文件で補足を行なった。EU商工会議所はこれらの文件を非常に重視している。17年の前半、外国による投資は低下しているが、中国政府は明らかにより多くの投資を欲している。欧州のビジネスでは、市場の需要に応じて生産能力への投資が行われる。短期的な金融的優遇措置のある投資区域が設置されるかどうかではない。調査によると、56%の回答者が、市場へのアクセスが確保されれば投資を拡大したいと考えている。

 国務院の文件の内容が完全に実施され、公平な競争が行われるならば、信頼を勝ち取ることは可能だが、状況は必ずしも楽観視できない。国有企業は合併や買収を繰り返して、資本や市場にアクセスしやすい会社を次々と作り、海外の競争相手を追い出そうとしている。

 7月に中国政府は新しい外国投資目録を実施したが、規制は依然として過大であり、付属規定などでは依然として内外の投資を区別している。このような漸進的な変化では外国による投資を大きく呼び込めるとは思えない。中国の会社法を改正し、外国と国内の企業を平等に扱う方がより大きな影響が生まれるはずである。

 第19回党大会後、中国政府は上述の国務院文件を大胆に実行し、EU中国間の投資に関する包括的合意を巡る交渉をまとめるべきである。それにより、中国と西側の緊張を緩和し得る。市場推進型の改革は、中国の長期的成長にとって決定的に重要である。そして自らの市場への双方向的アクセスを高めることは正しい方向に進む重要な一歩となる。中国の指導者は何をすべきかをはっきりわかっている。そしてEU商工会議所は、それを支えたいと考えている。

出典:Mats Harborn,‘China’s Economy Needs Concrete Reform’(Wall Street Jouranal, September 18, 2017)
https://www.wsj.com/articles/chinas-economy-needs-concrete-reform-1505751598


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