ダボスを蹴りフロリダに
この後、メラニア夫人の取った行動は周囲を驚かせたようだ。彼女は当初、トランプ氏に同行してスイスで開かれた「ダボス会議」に行く予定だったが、これを急きょキャンセル。同氏がダボス入りした1月25日には、ワシントン郊外のアンドリューズ空軍基地からフロリダ州パームビーチの別荘に向かった。
基地への途中には、何か思うところがあったのか、ナチの犯罪の所業を展示した「ホロコスト記念博物館」(ワシントン)に立ち寄っている。パームビーチの別荘「マール・ア・ラーゴ」では1日の短い滞在だったが、スパでリラックスしたらしい。同紙は夫人のフロリダ往復の旅費6万4000ドルが税金から支払われた、と指摘している。
夫人の報道官は、トランプ氏との不仲説について、タブロイド紙やテレビ・ショーの、わいせつで明らかな嘘が主要なメディアの報道にも広がっているとし、夫人には偽ニュースに対応する時間がないと一蹴している。今のところ、夫人から直接の発言はない。
ファーストレディは常に大統領の傍らに立ち、女性の代表として国民の模範になるような振る舞いが求められてきた。しかし、メラニア夫人は華やかなモデル出身にしては控えめな性格で、ファーストレディになってからも積極的に表に出るようなことはあまり見られなかった。
トランプ・ホワイトハウスの内幕を描いた「炎と怒り」でも、大統領選でトランプ氏が当選しそうなことが分かると戸惑って泣いていたと書かれている。こうした伝統的なファーストレディの役割に抵抗するような夫人の姿勢を「静かな反乱」と評する専門家もいる。
ある寄稿家は夫人が大統領の一般教書演説で議場に姿を現したことについて「メラニアは、本当は演説を聞きには行きたくなかっただろう。しかし結局のところ、ファーストレディとして行かざるを得ないと思ったのではないか」とその胸の内を推測している。
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