2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年3月8日

 ティラーソン米国務長官は、2月11日から16日まで中東を歴訪した。15日にはトルコのエルドアン大統領と、16日には同チャブシオール外相と会談し、トルコによるシリアへの越境攻撃以降緊張の度を増した両国関係の改善について話し合った。チャブシオール外相との共同記者会見でのティラーソンの発言の要旨は次の通り。

(iStock.com/Teka77/ MariaTkach)

 米・トルコ関係は、便宜的な、あるいは一時的な利益に基づく同盟ではなく、共通の利益と相互の尊敬に基づく、長年にわたる同盟である。

 トルコは、ISIS打倒のためのグローバルな有志連合の重要なパートナーだ。

 両国は、シリアで同じ目標を共有している。すなわち、ISISの打倒、地域の安定化、独立した統一シリア、国連安保理決議2254(注:シリア人主導の包括的な政治プロセスなどを求めている)に基づくシリアの将来の民主主義に向けた援助である。我々は、ジュネーブ・プロセスがシリアに新憲法と選挙をもたらすことを期待する。シリアの民主的な将来は、ISISの再台頭、アサド政権が国民にもたらしている苦痛を止める鍵となる。トルコの政府と国民が300万人以上のシリア難民を温かく迎え入れたことに、感謝する。

 我々は、トルコが国境の安全を確保する正当な権利を認識する。NATOの同盟国であるトルコが安全保障上の懸念があると言った時には、我々はそれを真摯に受け止める。アフリンについては、トルコに自制を求め、文民犠牲者を最小限にすること、地域の緊張を高めないことを要求する。

 米国のシリアにおける目標については、当初よりトルコに対し明確にしてきた。我々は、シリア民主軍への武器供給は限定的なものであり、ISIS打倒の任務に限られるものであり、軍事的目標を達するためだけに供給されることを、常にトルコに明確に説明してきた。

 我々は長年トルコの民主主義を支持してきたし、今後ともそうする。法の支配、司法の独立、開かれた出版の尊重は、強さと安定の源泉である。トルコがこれらの原則にコミットするならば、両国のパートナーシップは拡大する。我々は、2016年のクーデターの犯人を裁判にかけるトルコ政府の権利を支持する。裁判が、人権、自由を尊重する公正なやり方で実施されることが重要だ。我々は、米国外交機関のトルコにおける現地雇用者の拘留、非常事態宣言下で逮捕された米国民への裁判について、深刻な懸念を持っている。我々は、これらの件につき満足できる解決を求めて、トルコ側カウンターパートに引き続き働きかける。不当に拘留されていると思われる米国民の解放を求める。

出典:Rex W. Tillerson,‘Press Availability With Turkish Foreign Minister Mevlut Cavusoglu’, Department of State, February 16, 2017)


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