2024年4月24日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年3月21日

 インドの最善の選択肢は、他の民主国家とともに、ヤミーンへのモルディブのエリートたちの支持を断つべく経済制裁を科しつつ、信頼できる軍事的圧力を掛け続けることである。そうすれば、国際社会は、今年後半に予定されている同国の大統領選を、国連の監視の下、公正で包括的なものとすることができるだろう。それが、今回の危機を終わらせ、モルディブの平和を回復する唯一の道である。

出典:Brahma Chellaney, ‘India’s Choice in the Maldives’, Project Syndicate, February 19, 2018)
https://www.project-syndicate.org/commentary/maldives-political-crisis-india-intervention-by-brahma-chellaney-2018-02

 上記Chellaneyの観察は、おおむね正確であるように思われる。インドが軍事的介入をするのは、法的にも政治的にも無理がある。

 「自由で開かれたインド太平洋」戦略を掲げる日本としては、インドの立場を支持していく必要がある。日印、日米豪印の協力を強化していくとともに、インド洋沿岸諸国への支援を強化し、中国による影響力増大を阻止していかなければならない。ジブチへの海上警備の専門家チームの派遣、スリランカへの巡視艇供与および専門家チーム派遣の方針は、ささやかではあるが適切な措置である。

 なお、Chellaneyが上記論説で指摘している、イスラム主義者の影響力増大というのは、人口のほとんどがイスラム教徒であるモルディブにサウジがモスク建設などで接近を強めた結果、イスラム過激派が増加した状況を指している。モルディブは、人口比で言えば、世界で最も多くのテロリストをシリア、イラクに送り込んでいる。イスラム過激派はナシードの失脚を後押しした経緯があり、ヤミーンは彼らの取り締まりに消極的である。

   
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