2022年11月29日(火)

山師の手帳~“いちびり”が日本を救う~

2018年3月16日

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中国がタンタルを漁り始めた理由

 しかし、やはり気になるのが中国の影響である。中国がアフリカ各国に外交関係を強化しているのはよく知られているが、DRCやルワンダにもその進出の手を緩めることはない。欧米のタンタルワイヤーの大手企業はタンタル中間製品の製造を中国に移転したために世界のタンタル生産においても中国の存在感が増してきている。日本企業にとっても希土類やタングステンなどと同様、タンタル製品を中国に依存するようになりつつある。

 一方、タンタル資源は中国にはあまり賦存していないため、中国のタンタル精錬業者はアフリカに進出してきた。ところが、タンタルはルワンダやDRC及びその周辺国の生産が多いことから、紛争鉱物の対象となっているので思い通りにはいかないようである。

 当然ながら中国のタンタル工場は紛争鉱物を使っていないことを国際機関に証明しなければならない。そこでアフリカだけではなくブラジル、オーストラリア、カナダにも供給基地を拡大しているようだ。

タンタル業界を揺るがせた買収劇

 そんなタンタル市場の中で2018年2月27日に驚きのニュースが世界にリリースされた。

 JX金属(大井滋社長)が、ドイツのスタルク社(HC Starck GmbH)からタンタル・ニオブ事業の全株を買収したのだ。当社とJX金属との関係は密接なので早速、大井社長に面会を申し込み、翌々週には面談が実現したのである。

 一般の方には多少専門的なので理解できないかもしれないがスタルク社のタンタル・ニオブ事業は世界No.1である。スタルク社のタンタル・ニオブ製品(高純度金属)の開発・製造・販売のすべてを日本企業が手に入れるということは今後のIoT時代を支える影響は多大なものである。

 元々JX金属は非鉄精錬のリーディングカンパニーであったが電材加工事業についても以前から強化策を打ち出していた。このタンタル・ニオブ事業の買収により日本がタンタル・ニオブ分野で名実ともに世界一になったことを意味する。

 タンタル資源の開発をアフリカで目指しタンタルの安定供給に貢献することを目標にしてきた当社(AMJ)としては電子部品やデバイスの飛躍的な発展がさらに見込まれるので大変心強い市場の変化であった。」

タンタル資源相場の動向

 2018年になってからの国際タンタル市場は、価格が着実に上昇し続けた。初めに報告したように2017年から2018年3月現在までに155.2%の値上がり率はすべてのレアメタルで第1位である。現地のタンタル鉱石の価格は$97.00-98.00 / lbTa205となった。前月末の価格と比較して$ 1.00 / lbTa205の上昇となっている。現地のコンプトワール(集荷業者)の間でも売り手市場が続いており市場の混乱は収まりそうもない。

 中国の需要は引き続き堅調に推移しており、大半のスメルターの購入量は着実に増加傾向にある。一方では供給側はサプライヤーの数が増加した為に過去数カ月よりも価格上昇率はわずかに鈍化しているようにも観測される。しかし、筆者の経験からすれば今回のタンタル相場のようにじわじわと目立たないように上昇してゆく相場は長続きする場合が多い。いずれにしても引き続きタンタルの動向を注視していきたい。

  
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