2024年11月22日(金)

補講 北朝鮮入門

2018年4月18日

本当に電撃的だった金正恩訪中

 3月下旬の金正恩委員長による訪中も、北朝鮮の想定すら超える米朝関係の展開を受けて決められたものと考えられる。北京での夕食会のスピーチで金正恩委員長は「われわれの電撃的な訪問の提案を快く受け入れて下さり、短い期間にわれわれの訪問が成功裏に進められるようにするため傾けられた習近平総書記同志と中国の党と国家指導幹部同志達の知性と手厚い配慮に私は深く感動し、それについて非常にありがたく思っています」と述べている。

 金正恩訪中が急きょ決まったことは、中国要人の韓国訪問とからめても推測できる。

 中国外交のトップである楊潔篪政治局員が3月21日に訪韓する予定になっていたのに、16日になって中国から韓国に1週間程度の延期が申し入れられたのだ。金正恩委員長の訪中は25日夜から28日朝まで。楊潔篪氏は結局、29日に訪韓して文在寅大統領に中朝首脳会談の内容を説明した。

 金正恩委員長のスピーチと楊潔篪氏の動きを合わせて考えれば、16日もしくはその直前に北朝鮮側から金正恩訪中を持ちかけ、かねて訪中するよう求めていた中国側が受け入れたという構図が浮かんでくる。

 訪中に関する北朝鮮メディアの報道では、「初の外国訪問」であることが何回も強調された。初外遊という一枚しかないカードを使って中国のメンツを立てたようだ。中朝関係はこの間、きわめて冷却化していたが、やはり簡単に壊れるようなものではない。そのことを改めて確認させられたといえるだろう。

  
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