2024年4月24日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年6月11日

 トランプ米大統領とNATO事務総長は、5月17日にホワイトハウスで会談し、共同記者会見ではNATO加盟国の国防費を中心とした同盟への貢献に大きく焦点が当てられた。会見でのトランプの発言のうち、それに関する部分の要点は次の通りである。

(iStock.com/tintin75/BOLDG)

 昨年、我々の共同の努力の結果、欧州のNATO加盟国およびカナダにおいて、過去25年間で最大の増額がなされた。素晴らしい成果だ。

 GDP比2%というNATOの国防費の基準を達成する7か国に感謝する。現在、米国は2%を大きく上回る支出をしており、米国の納税者にとり不公平だ。

 2%を達成するのは、ポーランド、ルーマニア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ギリシャ、英国で、所期の額を期限内に支出した。

 こうした貢献の結果、NATOは遥かに強くなった。しかし、まだやるべきことは多い。我々は、残りの20の加盟国がNATOとの約束を果たし、少なくとも2%を支出することを待っている。2%というのは非常に低い数値だ。本当は4%であるべきだ。

 とりわけ、ドイツは、長年にわたる防衛への貢献不足に対応することで、同盟におけるリーダーシップを示すべきだ。ドイツはしかるべき貢献をしていない。ドイツは大きな受益者だ。率直に言って、米国より大きな利益を得ている。さらに、ドイツはロシアから大量のガスを買い、莫大な金額を払っている。

 米国は、NATO条約第5条(相互防衛)へのコミットメントを再確認する。我々は加盟国に、NATO条約第3条が求める軍事的能力の維持・発展を含む、防衛上の貢献の拡大を求める。

 NATO同盟の強さは、軍事力だけでなく、我々の文明を結合させてきた、歴史、文化、伝統の深い絆にもかかっている。我々は、こうした絆を更新し、我々の共通の遺産、すなわち平和に再び貢献しなければならない。

 我々は公平と相互主義を必要としている。一部の国だけが費用を支払い、行動し、忠実で、他の国はそうではない、というのは、不公平だ。そんなことがあってはならない。

出典:‘Remarks by President Trump and NATO Secretary General Stoltenberg Before Expanded Bilateral Meeting’, White House, May 17, 2018
https://www.whitehouse.gov/briefings-statements/remarks-president-trump-nato-secretary-general-stoltenberg-expanded-bilateral-meeting/


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