2024年12月7日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年7月13日

 河野外相は、6月21日から28日にかけて、タイ、ブータン、インドネシアを歴訪した。このうち、インドネシア訪問を取り上げ、合わせて最近のインドネシアの海洋をめぐる姿勢についても見ておきたい。

(bodrumsurf/MASATOSHIYAMGUCHI/GlobalP/szefei/miya227/iStock)

 6月25日の河野外相とルフット・インドネシア海洋担当調整大臣との会談では、概要、次のような内容であった。

・日本からの投資増大のための環境改善に向けた取組、MRT(Mass Rapid Transit:大量高速鉄道)、パティンバン港,ジャワ島北幹線鉄道高速化、スマトラ縦貫有料道路等の両国の協力案件について意見交換を行。離島における漁港・市場を整備するための「離島における水産セクター開発計画」に係る交換公文署名が行われたことを歓迎。

・南シナ海問題、「自由で開かれたインド太平洋戦略」とインドネシアが提唱するインド太平洋構想との連携等について意見交換。

 同日の河野外相とルトノ・インドネシア外相との会談は、概要、次のような内容であった。

・政治・安全保障,経済的繁栄のための協力、交流・教育などの分野において、引き続き二国間で協力していくことを確認。「自由で開かれたインド太平洋戦略」の下で協力を強化。

・北朝鮮問題や南シナ海を含む地域情勢に関して意見交換。北朝鮮問題では、安保理決議を引き続き厳格に履行していくことで一致。河野大臣から、拉致問題の早期解決に向け、ルトノ大臣の理解と協力を要請。

・両外相立ち合いのもと、インドネシアに対する無償資金協力「離島における水産セクター開発計画」に係る交換公文に署名。

 インドネシアは、地図を見れば歴然としている通り、まさに太平洋とインド洋との結節点に位置する大国である。インド太平洋戦略にとって重要であることは論を待たない。インドネシアは、「海洋国家構想」を掲げ、海洋権益を守ろうとしている。日本とインドネシアとの協力は、同じ海洋国家同士でもあり、近年、急速に進展している。2015年より、両国は2プラス2(外務・防衛閣僚会合)を持っている。昨年1月の安倍総理とジョコ大統領の首脳会談では、防衛装備品・技術移転協定妥結に向けた協議の加速も謳われた。


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