2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年7月17日

 米国は6月19日、ポンペオ国務長官とヘイリー国連大使が共同記者会見を開き、国連人権理事会からの離脱を発表した。ヘイリーの会見内容の概要は次の通りである。

(vectorplusb/nidwlw/freehandz/iStock/Getty Images Plus)

 国連人権理事会は、人権侵害者を保護し、政治的バイアスの汚水槽であり続けてきた。今や、我々の改革要求が顧みられていないことは明白だ。人権抑圧国が理事国として選ばれ続けている。人権理事会は政治化され続け、世界で最も深刻な人権抑圧者たちから目をそらすために、人権を守っている国々がスケープゴートにされている。

 我々は1年前、改革の進展が見られなければ米国は人権理事会を離脱すると言った。我々は人権にコミットするからこそ、人権を嘲るような、偽善的で自己満足的な組織に残ることは許されない。

 我々は改革の努力をしてきたが、我々に原則の上では賛成してくれる国々も、人権理事会を大規模、劇的、構造的に改革するための戦いに加わる勇気を持っていなかった。

 その間、理事会の状況は益々悪化した。我々の中心的目標の一つは、世界で最悪の人権侵害国の理事国選出を阻止することだが、コンゴ民主共和国のような人権侵害国が選ばれている。

 もう一つの目標は、理事会が人権侵害国を保護するのを阻止することだ。しかし、ベネズエラの人権侵害について会合は開かれていないし、昨年12月と今年1月のイランの政権による自国民殺害についても対応できていない。

 そして、もちろん、イスラエルに対する慢性的な偏見がある。国連人権理事会は、北朝鮮、イラン、シリアに対するものを合わせたよりも多くの、イスラエルに対する決議を出している。こうしたイスラエル敵視は、理事会が人権ではなく政治的バイアスに基づいて動いていることを明確に示している。

 米国は人権理事会の改革に真摯に取り組んできたが、我々の努力が成功しなかった理由は主に2つである。第一は、多くの非自由的な国々が、理事会が効果的なものになることを望まなかったからである。人権侵害国は、自らが調査対象になるのを防ぐために理事国となりたがる。ロシア、中国、キューバ、エジプトは、我々の改革の努力を駄目にしようとした。第二は、我々と考えを同じくするような国々が現状の打破に真剣に取り組もうとしなかったからである。

 多くの国が、米国の参加が人権理事会の信頼性の最後の砦なので残ってほしいというが、それゆえにこそ離脱しなければならない。人権理事会が、人権を支持する国を攻撃し、人権を侵害する国を保護するのであれば、米国はそのようなものに信頼性を与えるべきではない。我々は、人権理事会の外で人権をリードし続ける。人権理事会が改革されるようなことがあれば、我々は喜んで再加入するだろう。

出典:‘Remarks on the UN Human Rights Council’,June 19, 2018, U.S. Department of State


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