平昌では鍋好きの羽生に合わせて、カラダコンディショニング鍋(図3)やエネルギー豚汁(図4)などが随所に取り込まれたことがわかる。
カラダコンディショニング鍋は、低脂肪高たんぱく質の素材を使い、ハードなトレーニング後や試合に向けた調整期に食べる。固形の鍋スープの素(「鍋キューブ®」)を使い、たらなどの白身魚、白菜、しいたけ、にんじん、長ネギ、木綿豆腐など具だくさんなメニュー。
エネルギー豚汁は、試合本番にエネルギー源となる糖質を取れるよう、ジャガイモをふんだんに使っているのが特徴。豚肉からはエネルギー産生を助けるビタミンB1が取れるように工夫されている。
ただ、試合前は緊張やストレスなどで十分な量を食べられないことも多い、そんなときのために、「Power Ball®」という50グラム程度のだしで炊いた小分けのオニギリを用意したという。
羽生の食習慣は、ソチ五輪のときに比べ明らかに変わった。しっかり食べられるようになった。メニューをほとんど完食していた。成人男子をはるかに上回る、1日3000キロカロリー以上、時には3500キロカロリーに達する日もあったという。ケガを癒すのにも効果的だったと考えられる。
こうした食習慣、栄養摂取への地道な取り組みが、きわめてプレッシャーのかかる中での見事な演技につながり、五輪金メダル連覇として結実した。科学的視点での栄養摂取はとても重要だ。われわれも学ぶことは多い。
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