フィギュアスケート男子としては66年ぶりになるオリンピック2連覇をやってのけた羽生結弦。3か月前にジャンプの着氷に使う右足首の靭帯を損傷し、ずっと公の場に姿を現さずに治療とリハビリ、トレーニングに専念してきた。
わずか2週間前まで、本当に羽生がオリンピックに出場できるのかどうかもわからなかったことを考えると、オリンピックタイトルを守ったことが奇跡のようである。
優勝した翌日、2月18日に平昌のジャパンハウスでメダリスト会見が行われ、多くの報道関係者が集まった。
会見のオープニングのコメントを頼まれた羽生は、まず「どうもありがとうございました」と集まってきた関係者たちに挨拶をし「ソチオリンピックのときとは違って非常にたくさんの思いを込めてこの金メダルを取りにいきました。そして最終的に自分が思い描いていた結果になり、自分が思い描いていたメダルを取れていることが本当に幸せです」と語り始めた。
英語でユーモアも見せた羽生
その後JOCの司会者が英語で、最初に海外メディアの質問を優先し、羽生自身が英語で答える、と宣言すると羽生は「エッ」というように目を見開いた。
もうカナダに移住して6年になる羽生は、かなり英語も上達してきた。ヒアリングはほとんど問題なく質問を理解している。唯一、話すときは時々単語を探すのにもどかしそうに言葉につまることもある。
くまのプーさんのぬいぐるみを毎回あれほどもらって、いったいどう処分するのかと聞かれると「Winne the Pooh is going back to …」でしばらく言葉を探し、「 forest!」(くまのプーさんは森に帰るんです)と言うと、記者席は爆笑に包まれた。
2014年ソチオリンピック王者になってから男子をこの4年牽引し続け、こうしたメディア対応にもユーモアを交える余裕とセンスを身に着けてきた。