恩赦を検討か
トランプ大統領に対して反旗を翻しているのは閣僚の中にもいる。ロシアゲート疑惑で自身がロシア側と接触していたことから捜査にタッチしない、と宣言して大統領に罵倒され続けてきたセッションズ司法長官だ。大統領は「捜査から身を引くことが分かっていたら他の人間を司法長官に据えていた」などとやり玉に上げてきた。
コーエン氏の証言の後も「司法省を統制していない。信じられん。なんてヤツだ」などと酷評した。これまで大統領からいじめのような扱いを受けても耐えていたセッションズ氏だったが、今回は違った。「就任宣誓した日から統制している。私の在任中に司法省の活動が政治的意向によってゆがめられることはない」と初めてボスに公然と反撃、開き直った。
大統領にあくまでも忠誠を尽くし、捜査協力を拒否したのはポール・マナフォート元トランプ陣営選対本部長だ。同氏はバージニア州の連邦地裁で21日、問われた罪のうち脱税や銀行詐欺など8つについて有罪評決を受けた。大統領は「コーエンと違って作り話をせず、勇敢な男だ」と称えたが、協力を拒否したのはあまりに罪が重くて全面的な免責が不可能だったからともされる。
同氏は9月17日からワシントン連邦地裁でモラー特別検察官によって訴追された容疑についての第2弾の審理に臨むが、ウクライナの親ロシア政治家のコンサルタントとして3000万ドルもの巨額な報酬を不正に受けていたといわれている。
ロシアゲートでも、トランプ氏の長男ジュニア氏らと共にロシア人弁護士と密会していたことが明らかになっており、ロシアとの結託について厳しく問われることになる。トランプ氏は自らを守るためにもマナフォート氏に恩赦を与える可能性が大きいが、これには与党共和党指導部も反対の意見が大勢だ。