2024年12月9日(月)

したたか者の流儀

2018年10月11日

ベルギー・ゲントの古い町並み(RossHelen/Gettyimages)

 コンビニ行く度に日本には、外国人労働者は何人くらいいるのか気になる。しかし、彼らは就労ビザではなく、留学生の就労者であろう。では、異国から来ている労働者は何人かといえば、イチニッパ、ニゴロと覚えれば大はずれはないと発見した。すなわち、128万人が外国からの勤労者総数。その家族を含めた外国人全体では256万人前後となる。年間3000万人近い訪日顧客とは別で、ビザを持ち外国人登録している人の総数だ。

 日本からもその数には及ばないがかなりの人数が日系企業の海外拠点で働いているのだろう。日本企業の国際化の先兵として世界各国には派遣されたベビーブーマーたちも二度目の定年退職をおえる年となった。

 時間をもてあます、その昔米国や欧州で勤務していた仲間から、「イギリスの年金もらえるようになったぞ、君はどうした」という類いの話を聞くことが多くなった。

 かく言う小生もベルギー王国から月額1万円程度の年金が出始めた。ベルギー政府からお金は届くが、変な物も時々届いてしまう。よく考えれば至極当然のレターだ。すなわち、生存証明書と日本語以外のあらゆる言語で印刷された書類だ。さすがに国際都市ブリュッセルを中心に、世界中から働きに来ているベルギー年金機構だ。高い社会保障費を往時請求したので、その代わりにわずかながら年金を支給することになる。

 さて、生存証明書。日本では、親が亡くなっても放置しておき、年金をせしめる事件が時々発生している。たとえば100歳のお祝い品をもってきた役人を追い返したりすることがあったそうだ。本人はとうの昔にみまかっているのだが、一族の現金収入は死んでしまったじいさんの年金だけということもあるらしい。なぜそんな簡単なチェックができないのだろうか。

 その点、外国の年金は厳しい。年金を受け取るには生きている証しである書類を出せというのだ。

 手続きは、ベルギー大使館に行ってパスポートを見せれば生存証明書にサインをしてくれた。ベルギーには、日系企業が多数進出している。若かりし時代、おとぎ噺のような国ベルギーで働いていた日本人が法定老人となり大挙して年金受給資格を行使しはじめたのでたまらない、在京のベルギー公使は大忙しとなってしまった。大使館に知恵者がいて、生存証明の発行はベルギー外交官のジョブ・ディスクプションにはいっていないことを発見して、その業務を閉鎖してしまった。ある日、例年通りに大使館に行くと、このサービスは外交官の仕事ではないので停止すると書かれたが掲示が出ていた。

 では、誰が証明出きるのだろうかとあちこちあたってみた。正解は、公証人役場に行き、生存証明を作成してもらい、その後、法定翻訳業者に翻訳してもらい、さらに外務省領事部証明班に公印を押してもらうのだそうだ。しかし、費用を考えたら、割りに合わない話となる。友人のベルギー人に話すと、「俺がサインしてやるから、レミーマルタンのキャップを探しておいてくれ」(レミーマルタンのキャップは外国公館が使う、シール印そっくり)だと。確かに、この酒のキャップはいつでも、どこぞの国の公印になる形状だ。青インクのスタンプがあればOKとなる。最悪その手を使うかどうか躊躇したので、区役所に行ってみた。


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