2022年12月4日(日)

サムライ弁護士の一刀両断

2018年10月18日

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河本秀介 (かわもと・しゅうすけ)

弁護士

敬和綜合法律事務所所属。東京大学卒業後、三菱重工業での勤務経験を経て、2007年に弁護士登録。以後、会社関係訴訟、企業経営への助言、株主総会指導、M&Aアドバイスなど、コーポレート分野を中心に、幅広い内容の業務を遂行している。

CDNを通じた発信者情報取得の手段とは

 今回、前述の弁護士は、従来とは異なる方法で漫画村の運営者情報の取得に成功したと発表しました。

 海賊版サイトは、サーバにアクセスが集中することによる通信障害を防ぐため、往々にして、コンテンツデリバリネットワーク(CDN)と呼ばれる配信サービスを利用しています。CDNは契約者のサーバにあるデータを世界中に設置されたサーバにコピーして配信することで、契約者のサーバへのアクセス負荷を低減し、通信速度を維持するサービスを提供しています。今回運営者が特定されたとされる海賊版サイトも、米国のCDN大手であるクラウドフレア社のサービスを利用していました。

 同弁護士は米国の法律事務所と提携し、米国の裁判所にクラウドフレア社に対する著作権侵害訴訟を提起し、米国の裁判所の命令により、クラウドフレアに漫画村の運営者に関する情報を開示させたということです。

 現状では海賊版サイトが防弾ホスティングだけで大量の通信を行うことは困難です。よって、海賊版サイトが匿名性を維持したまま通信速度を確保するためにはCDNなどを利用することが必要になってきます。CDNから情報を得ることが可能となると、海賊版サイトなどの運営者を特定できる可能性が高まるといえます。

 今後、米国の裁判所を活用したCDN事業者からの発信者情報の取得がノウハウとして定着した場合、海賊版サイトが正体を隠匿しながらアクセスを拡大する手段のひとつが使えなくなることになるため、海賊版サイトを抑制することができると期待されます。

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