2022年11月30日(水)

サムライ弁護士の一刀両断

2018年10月18日

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河本秀介 (かわもと・しゅうすけ)

弁護士

敬和綜合法律事務所所属。東京大学卒業後、三菱重工業での勤務経験を経て、2007年に弁護士登録。以後、会社関係訴訟、企業経営への助言、株主総会指導、M&Aアドバイスなど、コーポレート分野を中心に、幅広い内容の業務を遂行している。

ブロッキング導入はパンドラの箱を開けることにならないか

 私の見解ですが、やはりブロッキングには弊害が大きいと言わざるを得ないでしょう。特に、海賊版サイトの実態解明に有効となる可能性の高い手段が見つかった以上、ブロッキングの是非については、ブロッキングが真に海賊版サイトに有効な手段となるかどうかも含め、今まで以上に慎重に検討されるべきだと考えます。

 ブロッキングは、いうなれば国やプロバイダが、有害と判断したウェブサイトを法律などで閲覧させないことができるということです。仮に法律を作ったとしても、安易な運用によってブロッキングの対象がなし崩し的に拡大した場合、インターネットを通じた表現や議論が過剰に制約されるおそれもあります。

 ブロッキングには、運用を一歩間違えると情報の管理社会化を招きかねない危うさがあります。

 これに対して、従来は海賊版サイトに対してブロッキング以外に有用な手段が見当たらないという前提で議論が進められていました。CDNを通じた情報取得の途が拓けたとなると、議論の前提が覆された格好となりますので、従来の議論も見直される必要があると思われます。少なくともブロッキングありきで議論を進めるべきではないでしょう。

 知的財産戦略本部の検討会議での中間取りまとめ案が先送りになったことも、拙速な議論を回避するためにはやむなしと考えます。

 海賊版サイトにより、出版社や作家に多額の損失が生じていることは事実であり、対策が急務であることは間違いありません。また、ブロッキングが海賊版サイト対策に有用な手段となる可能性があることも否定できないでしょう。

 だからといって安易にブロッキングを導入した場合、情報の管理社会化に向けたパンドラの箱を開けることになりかねません。いま一度、原点に立ち戻った議論が必要だと感じます。

  
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