2022年12月5日(月)

前向きに読み解く経済の裏側

2018年11月12日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

経済評論家

1981年 東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の業務に従事。2005年 銀行を退職して久留米大学へ。現職は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は一個人として行うものであるため、肩書きは「経済評論家」とする。

 サラリーマンは給料天引きですから、特に何もしなくても年金保険料を支払うことになりますが、自営業者は自分で支払いに行かないと将来の年金の受取資格がなくなってしまいますから、気をつけましょう。

 上記のように、年金の原資の半分は税金です。税金を払っているのに年金保険料を払っていない人は、自分は年金が受け取れないのに他人の年金の一部を払っていることになります。これは大変もったいない話ですので、是非とも年金保険料はしっかり払いましょう。

 最近、若い人で年金保険料を支払わない人が増えているようです。そうなると、年金財政が苦しくなって、我々が年金を受け取れない可能性が高まるのではないか、と心配している読者もいるでしょうが、ご安心下さい。上記のように、現役時代に年金保険料を払っていない人には老後の年金を支払わないので、年金の財政は悪化しないのです。

 しかも、彼らに支払うはずだった年金の半分は税金です。その中には彼ら自身が払った税金も入っているわけですが、それを彼らは放棄しているのです。むしろ年金保険料の不払い者が増えることは財政にはプラスに働いていると考えることができます。

 もっとも、彼らが年金を受け取らずに老後を暮らすとなると、彼らが将来生活保護を受給する可能性も出てきそうです。そうなると、年金財政ではなく一般会計の財政の赤字が膨らんでしまう可能性はあるわけで、そこは心配のタネですね。

総理大臣としては万難を排して年金を支払うはず

 さて、筆者が「公的年金は必ず支払われる」と考える理由は、上記のほかにもあります。それは、総理大臣の視点で考えればわかることです。将来、年金財政が破綻しそうになった時、総理大臣が考えることは二つでしょう。

  1. 選挙の有権者は高齢者が多く、しかも彼らは選挙の投票率も高い。従って、高齢者を怒らせたら次の選挙で惨敗するだろう。高齢者への年金支払いは、絶対に止めてはならない。若者向けの予算を削り、若者から増税しても良いから、高齢者への年金の支払いだけは絶対に行おう。
  2. 高齢者への年金支払いを止めたら、生活保護を申請してくる高齢者が激増するだろう。生活保護を支給するよりは年金を規定通り払った方がずっと安上がりだから、何としても年金は支払おう。

 というわけで、総理大臣としては万難を排して年金を支払うはずです。読者の中には「万難を排して年金を支払おうと思っても、財政が破綻するから払えない」と考えている方もいるでしょうが、財政は破綻しないのでご安心ください。どうしても心配な方は、こちらの拙稿をご参照ください。『日本の財政が絶対に破綻しない理由』

  
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