国民性は“ネバー・ギブアップ”
戦禍や不安定を予見してか、多くの国民がそれ以前にも海外に雄飛している。日本でも有名な消費者運動家のラルフ・ネーダーはレバノン人を母としている。欠陥自動車を辛抱強く批判して勝利したので、米国では有名人で弁護士・活動家となっている。彼が自動車業界を震え上がらせた話は、いまだに語り草となっている。ネーダーというが、本来はアラビア語由来のナゼルとだろう。
また、同時期、カナダの製油所利権を、日本を代表する大手商社であった安宅産業に紹介し同社を破綻に導いた人物も、レバノン人商人のシャヒーンとされている。
特に、ラルフ・ネーダーの全盛期は1970年代のことであったが、昨今また米系の新聞を読むと登場することが多い。
そこから浮かび上がる国民性は“ネバー・ギブアップ”で頭脳明晰となろう。本件の背景にはフランスのマクロン大統領の意向と、カルロス・ゴーン元CEOの鬩ぎ合いが存在していた。
マクロン大統領は、その著書「革命」の中で、“僕はしつこいんだ”と繰り返している。15歳の時に出会った女教師と15年の時をかけて、最終的に結婚したことだけではなく、すべてに渡ってやり遂げるまでやるという意味であろう。そのマクロンと互角に戦い、引き分けにまで持ちこんだカルロス・ゴーンも同様に粘い強い人物という事だ。
さて、百戦錬磨のレバノン商人の末裔に日本の御当局が果たして、どこまで迫れる目が離せない事案という事になる。
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