2024年4月27日(土)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2019年2月5日

「弱腰」のイメージ解消

 第3の狙いは、「弱腰」のイメージを解消することです。

 米議会では与野党の上下両院議員17名から構成された超党派のチームによって、2月15日までに予算成立を目指して協議が行われています。内訳は、上院が共和党4名、民主党3名、一方下院は民主党6名、共和党4名です。トランプ大統領はこの協議における合意の可能性について「5分5分とみている」としながらも、「時間の無駄だ」と一蹴しました。

 あくまでも、自分が主導権を握って、壁建設費を含めた予算を成立させるという意識の現われでしょう。実はそうせざるを得ない状況にトランプ大統領は追い込まれています。

 「国境の壁」建設費を巡る問題で、トランプ大統領は支持者に影響力を持つ保守派の論客アン・コールター氏から「弱腰」とレッテルを貼られ、非難されました。ナンシー・ペロシ下院議長に譲歩して、壁建設費を含まない暫定予算に署名したからです。

 トランプ大統領は、ジレンマを抱えています。もう一度同様の行動をとれば、保守派の論客から完全に「意気地なし」とみなされます。しかし、予算が2月15日までに成立せず、2度目の連邦政府機関の一部閉鎖になれば、幾分回復した兆しのある支持率が再度低下します。

 一般教書演説では、最後の交渉カードである「国家非常事態宣言」の発動をちらつかせながら、「今度はペロシ下院議長に絶対譲歩しない」というメッセージを保守派の論客に送り、「強い大統領」を演じるでしょう。つまり、今回の演説では保守派の論客を意識した演説になるということです。


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