実績作りを急ぐトランプ
確かに、トランプ大統領は中朝との首脳会談を利用して、外交で活路を見出し、政治的得点を稼ごうとしています。その背景には主として、「国境の壁」建設費、ロシア疑惑及び民主党候補の相次ぐ出馬があります。
「国境の壁」建設費を巡り、昨年から議会民主党との交渉は手詰まりの状態になっています。ロシア疑惑に関しては、30年以上にわたる友人で政治コンサルタントのロージャー・ストーン氏が起訴され、ロバート・モラー特別検察官の捜査が核心に迫っています。
それらに加えて、6月から民主党候補のテレビ討論会が始まります。誰が民主党候補になるにせよ、トランプ大統領にはその候補を上回る実績作りが急務なのです。
ただ、中朝の首脳会談で実績作りに成功を収めたとしても、「国境の壁」建設を主要な争点にして前回の米大統領選挙で当選を果たしたトランプ大統領は、壁問題から決して逃げることはできないでしょう。
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