2022年11月27日(日)

家電口論

2019年2月10日

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多賀一晃 (たが・かずあき)

生活家電.com主宰

1961年生まれ。慶應義塾大学理工学部卒、同理工学研究科修了。大手メーカーにて商品開発・企画を担当後、独立。現在、商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。

 日立の冷蔵庫の得意技は「真空チルド」。低酸素状態にして長期に渡り鮮度を保持するチルド室です。開けるときの「プシュー」という独特の空気音も含め、筆者的には好みです。ところが、この1月発表された、フラッグシップ冷凍冷蔵庫 R-KX57Kに、日立ご自慢の「真空チルド」は搭載されていませんでした。

R-KX57K

 しかしR-KX57Kに新しく搭載された「ぴったりセレクト」と「まるごとチルド」は、理想の冷蔵庫の片鱗を見せるモノでした。

「ぴったりセレクト」という技術

 「ぴったりセレクト」というのは、5扉の内の下2段、「野菜室」と「冷凍室」に使われている庫室を自分の好きな様に使用することができる技術です。「野菜」「冷凍」に加え「冷蔵」、3種類からのセレクトなので「冷蔵(上段)、冷蔵(下段)」「冷蔵、野菜」「冷蔵、冷凍」「野菜、冷蔵」「野菜、野菜」「冷凍、冷蔵」「冷凍、野菜」「冷凍、冷凍」とすることが可能です。これは理想の冷蔵庫の条件「自分の思った通りカスタマイズできる」に近づいています。

奥面の主要パーツ。なるべく厚みを持たさない様、設計開発してある

 しかし、技術的難易度は極めて高いです。それは冷蔵:約6℃と、冷凍:約-22℃と幅が広い温度制御を同時に実現しなければならないからです。しかも「冷凍、冷凍」とした時、259Lにもなる大容量を「冷凍」すべきパワーも必要です。このため温度制御を確実に行うための「断熱性の確保」が必要です。そして、それを庫内容量を犠牲にせず、成し遂げなければなりません。

 259Lという、小型冷蔵庫まるまる一つ分に匹敵する容量を冷やすために、日立は大開口フラップと、大容量ファンを新規開発しました。

 大容量ファンの場合、前後にそれなりのスペースを設け、空気が移動できるようにしなければなりませんが、その場合、庫内容量が犠牲になります。このためファンの横方向から風を流すようにしました。そして「薄型断熱材」できっちり仕切り温度制御します。薄型断熱材は、庫内容量を大きくするため数年かけて開発、導入した技術ですが、ここでも大きな役割を果たします。

「まるごとチルド」という技術

 こちらは上の冷蔵室をまるごとチルド室にしてしまおうという考え方です。このため、冷蔵室は約2℃といつもより冷えます。しかし、通常の冷蔵より湿度を高く保っており、ラップする必要がありません。ただし鮮度維持能力は、真空チルドより落ちます。

 こちらの技術ポイントは、温湿度コントロールです。これも風が関係します。今まで単純に下から上に送り出していた風を、庫内の隅から隅まで行き渡るようにし、温度だけでなく湿度も均一になるように工夫したのです。担当者によると3日間はラップしなくても、十分鮮度が保てるそうです。

ノーラップ保存のハム。通常冷蔵だと干からびてしまうが、チルド下ではほぼ入れた状態で保存される。

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