2024年12月23日(月)

家電口論

2019年1月3日

 2019年になりましたが、ちょっと昨年を振り返って、2018年もっとも感心した「生活家電」を紹介したいと思います。

 昨年発表された家電は、今までの延長線上で完成度を高めたモノだったり、今までの技術を組み直しコストダウンしたものだったりと、「上手く商品化した」製品が主流でした。そんななか、いくつかの家電は新しい方向性を示しました。そのなかでも、秀逸だったのが、「パナソニック IHデイリーホットプレート  KZ-CX1」です。

「パナソニック IHデイリーホットプレート  KZ-CX1」

関西勢が強いホットプレート

 ホットプレート御三家は、象印マホービン、タイガー魔法瓶、そしてパナソニックです。全て関西勢。背景には、お好み焼き、たこ焼きの粉モン文化が根付いているからでしょう。確かに一台あると便利な家電です。一番簡単なのは料理は焼き物。焼き、そして食べるだけです。料理は冷めない内が華。アツアツを食べるわけですから、味も3割増しです。

 この3社からホットプレートを借りて、実地テストをしたのですが、つくづく感じたのは、「片付けが大変」ということでした。ホットプレートのプレートは完全な鉄ではありませんが、軽くはありません。洗うにしろ、片付けるに大変。では、出しっ放しならどうかというと、それはダイニングがお好み屋さん状態になってしまいます。鉄板=黒ですから、雰囲気も重いです。

 それに対し、新しい考えでアプローチしたのが、KZ-CX1でした。

片付けなくてもよくするために

 キッチン家電は、冷蔵庫、電子レンジ、食洗機の大型を除き、基本使う時だけ出します(微妙なのが炊飯器)。限りあるキッチンスペースを上手く使うためには仕方ないですね。

 ホットプレートもその一つ。使う時だけ出して使います。しかし、考えてみてください。毎日の料理「焼いて」いませんか。ホットプレートは、ボールをひっくり返した様な小さく高さのあるフタさえあれば、ほぼ自在にいろいろな食材を焼いて愉しむことができます。

 ということで、怠け者を自認する私は、毎回片付けるのを止めにして、使用後はキッチンペーパーで拭き、置きっ放しにしてみました。まぁ、これが本当に楽。朝は目玉焼き、昼はお好み焼き、夜は焼肉を含む焼き物。熱々が食べられるので、美味しいという特典が加わります。

 困ったのは、やはり使わない時です。邪魔なこともそうですが、フタをしていてもやはり出しっ放し感が強いのです。また生活感がかなり色濃く出ます。

 これから脱皮するために、すべきは2つです。

  1. 生活感をなるべくなくする。
  2. 朝、昼、晩。できればおやつでも使えるようにする。

 しかし、結構ハードル高い問題です。

KZ-CX1のデザイン

 KZ-CX1のデザインの最大の特徴は横長であることです。幅:59.3cm(奥:32.3cm)。象印の「やきやき」が幅:54cm(奥:37.5cm)、タイガーの「これ一台」が幅:56.9cm(奥:38.5cm)ですから、横方向(幅)で約5cm長く、縦方向(奥行)で5cm短いです。それくらいと思われる人もいるかもしれませんが、実際全く違う印象となります。

 これをテーブルの中央に置くと実に座りがいい。テーブル中央と言うのはあまり使われないエリアです。使う時は、皆がとって食べるモノを置きます。蜜柑を入れたフルーツバスケットなどです。

 そしてその場合、奥行はなるべくないほうがいいです。自分の前のスペースはホットコーナーいろいろなモノが置かれます。KZ-CX1だと片側:2.5cm短くなっただけとも言えますが、2.5cmでも奥行がないのは嬉しいものです。この差が大きいです。そして、幅:5cm長いのもプラスです。幅が大きければ大きいほど、どの位置からも取りやすくなります。

 KZ-CX1を使うと分かりますが、これお好み焼きを焼くのにギリギリの幅とも言えます。お好み焼きは基本「円」ですから、最も場所を取ります。見事な寸法バランスです。

 そして次のポイントは、高さ。KZ-CX1は4.6cm。それに対して、象印は12cm、タイガーは12.7cm。実に薄い。薄いと言うことは「山」でないわけで、目立たない。KZ-CX1は、実用性に富みながらも、眼だ立たないという二律背反の課題に見事対応しているわけです。

 その上、色がシャンパンゴールド。日本の家庭ではナチュラルが好まれます。シャンパンゴールドは、その上にあって実に主張しません。補色は白。日本人好みの色。今の建物の内装は、ナチュラルの柱に、白の壁紙。見事に計算され尽くしたデザインと言えます。雰囲気はホテルのバイキングなどで見かける出しっ放しのプレート。西洋はあるものを全部並べて愉しむところがありますからね。焼肉のイメージを見事になくしています。

だから「IH」

 ホットプレートの熱源はシーズヒーター。安いですし、タフ。遠赤外線効果も狙えます。しかし、それが最終形でしょうか? それはあくまでも鉄板ではなく、焼肉に使われる「炭火」を考慮に入れているからになりません。パナソニックが採用したのは、ヒーターの最終形の一つIHです。

 IHはIH対応の鍋などが必要です。が、オール電化した人は「もうガスに戻れない」と言います。その位メリットが多いシステムです。一番に、無駄な熱がでません。

 今は少なくなりましたが、昔、コタツでガス台置いて鍋をやって、コタツの上板がパリパリになった経験がある人もいると思います。その様なことがありません。鍋だけが設定しただけ発熱する。IH最大のメリットですし、卓上で使うには適しています。

 KZ-CX1のプレートを外すと、それは極薄のIHクッキングヒーターが現れます。二口のIHコンロです。IH対応の鍋があると、お米も炊けますし、カレーも出来ます。プレートでできないことができます。確実に繊細に熱の調整ができ、底を焦がすようなこともありません。

 プレートを載っけると焼き物はほとんどOK。パナソニックは関西のメンツにかけて、専用のたこ焼きプレートすら用意しています。


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