「曲に合わせてコマを操るわけだけど、回転してキャッチする時や音楽に合わせた動作が美しいほうが見ている人には凄いと感じてもらえると思って。いろいろなダンスも根本はクラシックバレエだと聞いたので、基礎から始めています。最近、動きがきれいになったと言われるようになりました。15年の動画と18年の動画で自分の動きを比べてみたら、やっぱり全然違っていました」
伸ばした手の先、身体の線、スピンの滑らかさは確かに美しく、この日のステージでも「きれいねえ」という声が上がっていた。
現在は、イベントへの出演依頼などオファーを受けて出演料が保証される仕事のほか、富士市の「天間(てんま)まちづくりセンター」のジャグリング教室で小学生から70代までの幅広い年齢層の人々にジャグリングを教えるなど活動は広がり、生活できる収入は得られるようになったそうだが、やはりメインは投げ銭の大道芸。
この日も、場所は使用できるけれどギャラはなし。投げ銭が収入のすべてである。技に驚き、美しい動きに感動した時、人は自然と称賛の気持ちを表したくなるのだろう。ほとんどの客が、帽子にそれぞれの思いを納めてから立ち去っていった。誰もいなくなった広場で、ひとり黙々と機材や道具の片付けをするジョー次の姿は、どこか深い孤独の中で、客との密かな勝負に賭ける醍醐味と喜びが複雑に絡み合っているように見えた。
石塚定人=写真
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