Washington Files

2019年4月22日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

集金力、投入資金ともに劣勢だった候補が勝利したケースは初めて

 トランプ共和党陣営とクリントン民主党陣営との間で戦われた同年選挙では、両陣営が個人、企業、団体などから集めた資金総額は18億ドル3000万ドル、その内訳はトランプ陣営6億4000万ドル、クリントン陣営11億9000万ドル、また実際に投入した資金もトランプ陣営6億1000万ドル、クリントン陣営11億8000万ドルと、いずれもクリントン候補がトランプ氏を上回っていた。

 集金力、投入資金ともに劣勢だった候補が勝利したケースは、過去の大統領選挙を通じ初めてとされる。

 ワシントン・ポストなどのベテラン政治記者の分析によると、勝因のカギとなったのは、これら大統領選挙管理委員会が公表したデータには現われない、費用のかからない“ただのPR作戦”だったという。つまりトランプ氏の場合、ツイッター、フェイスブック、ユーチューブなどのSNSを通じ頻繁に自分のメッセージを発信したことが、実際に投入された資金以上に重要な役割を果たしたというわけだ。

 このいわゆる「メディアただ乗り露出=earned media coverage」をTVやラジオコマーシャル費用として換算した場合、トランプ氏は通常費用に加え50億ドル相当を支出したことになる。これに対し、クリントン氏の場合は32億ドル相当と試算され、結果的にこの面でトランプ氏がクリントン氏を圧倒したと説明されている。

 いずれにしても、総選挙で各党が所属候補支援のために支出できる資金総額が2950万ドル以下と制約のあるイギリス、大統領選で候補者一人当たりの支出総額が2500万ドル以内に制限されているフランスなどと比較しても、米大統領選の場合はケタ違いに金がかかることは事実だ。

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