2024年11月23日(土)

Washington Files

2019年4月22日

なぜ、米大統領選は多額出費を余儀なくされるのか?

 ではなぜ、米大統領選が多額出費を余儀なくされるのか―その背景には以下のような要因がある:

  1. 民主、共和党両党も、大統領選本選に先立つ党候補を最終的に絞り込む予備選、党大会での指名争い含めまる2年近くにわたる長丁場での戦いを強いられるため、この間の地方遊説や講演会企画など絶え間ない出費が必要となる
  2. 国土が広く選挙区が50州にまたがるため、移動、宿泊費用などがかさみ、また州の規模によっては1度ならず、何度も現地に足を運び、多くの有権者にアピールすることが求められる
  3. PR活動費も数10年前までは、対象メディアが限定され、TVコマーシャルの場合も、ABC、CBS、NBCの3大ネットワークが中心的役割を果たしていたため、宣伝費用も節約できた。しかし今日、テレビは地上波のほかに、BS、CSなどマルチ・チャンネル化し、そのほかにも電子メディア、ネットメディアが無数に増えたことから、必要宣伝費が一気に拡大した
  4. 以前は、有権者が確定申告の際に自由意思で寄付する資金を下にした「大統領選挙公営制度」に基づき、国庫から一定枠内での選挙資金が候補者に支給され、その範囲で選挙戦が繰り広げられた。しかし、2008年大統領選でオバマ候補が国庫支出に頼らず自陣営が集めた自己資金による選挙戦を展開して以来、一般化し、投入資金規模も膨張一方となった

 この結果、大統領選は回を重ねるごとに高価なものとなってきており、「2020年選挙ではかつてない空前規模の資金が投入されることは間違いない」(キャンディス・ネルソン・アメリカン大学政治学部長)という。

 そこで、まだスタートしたばかりの今回の選挙戦だが、再選目指すトランプ氏含め各候補によるこれまでの資金集めの状況を見てみよう。

 先頭ランナーはいうまでもなくトランプ氏だ。現職の強みをフルに生かし、4月15日現在で、再選委員会として今年1月以来、集めた資金はすでに3000万ドルを突破した。さらにこれとは別に、再選を支援する共和党全国委員会として集めた資金が4580万ドルに達しており、両委員会合わせた7580万ドルという資金規模は、今年第一4半期としては民主党候補者8人分を合わせた資金合計を上回っているという。

 このほか大統領は、就任後からプールしてきた銀行預金が4080万ドルに上っており、現段階では資金面に関する限りかなり優位な戦いを進めている。


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