それぞれの転居先
Xデーまで9カ月となりSさんが近隣の新築アパートに転居。仲介した不動産屋に入れ知恵され立退料の打診にきたが契約条項を説明して一件落着。
Xデーまで半年となった頃、心待ちしていた吉報が相次いだ。HさんとK氏のケアマネージャーから特養老人ホームの空きが出たと連絡があり早々に退去。
さらに1カ月後、突然ボランティア団体を名乗る女性からE君の引越先が決まったとの電話。この女性も障害者のE君の代理として立退料を要求したが契約を説明してお引取り頂いた。
Xデーまで3カ月のある日、Z老人が40万円の転居費用見積を持って来た。やはり契約を全く理解していなかったのだ。やんわりと定期契約を説明。引越当日、手伝おうと出向いたら30代後半くらいのアジア系女性が部屋にいた。やんちゃ気質は衰えていない。ご立派!
エピローグ
T氏とY氏は仕事が忙しく転居先を探す暇がないと最後まで残留していたがXデーの直前に相次いで退去。Xデー当日、2人から依頼された粗大ごみを処分し大家業終了。
無人となった築45年の△△ハイムをふと見上げると、朝陽を浴びて赤い屋根瓦が威風堂々と輝いていた。
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