1−3月期のプラス成長は、景気の好調を意味せず
景気への懸念が高まりつつある中で発表された1−3月期のGDP統計は、実質成長率が前期比プラス0.5%となりました。マイナスを予想していた人も多かったので、意外感を持って受け止められましたが、内容を見ると決して良い数字とは言えません。
輸入が大幅に落ち込んでいるのです。これは、「需要が弱いから輸入が減っている」ということを示唆するものです。そうした懸念を補強する数字もあります。在庫がわずかながら増えているのです。
輸入が大幅に落ち込んだ分だけ在庫が減っていれば、「景気が悪くて輸入が減ったのではなく、輸入貨物の取り扱いが滞ったのかもしれない」と思うのですが、そうではないのです。
輸入が落ち込んでいなければ、今頃在庫が大幅に積み上がっていたかと思うと、むしろゾッとする数字かもしれません。
余談ですが、GDPの統計は、在庫が積み上がってもプラス成長として発表されます。よくあるのは、「景気が後退しはじめて在庫が積み上がったため、GDPはプラスだった」というケースです。
今回の数字も、そうなっていた可能性があるわけで、プラス成長だから景気は好調だ、とは言えないわけですね。
筆者は、景気の見通しについては強気論を唱えて来ましたし、いまでも一応強気論を唱えてはいますが、景気が後退するリスクが高まっていることは認めざるを得ません。そうであれば、わざわざそんな時に消費税率を引き上げなくても良いだろう、と考える次第です。
消費税増税分だけ景気対策をする、という選択肢もあるが
「消費税の増税は今更やめられないが、増税額と同額の景気対策を採ることで景気への悪影響を防ごう」という考え方もあるでしょう。一般論としては、それでも問題ないはずです。
しかし、今次消費税は軽減税率が導入されますし、景気対策としてポイント付与等々の面倒な事が多いと言われています。それならば一層のこと、消費税率の引き上げ自体を延期するほうが、はるかにスッキリすると思っています。
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