農地も売り先もある。ないのは人手だけ
今後面積を拡大するつもりだという佐藤さんに、どの程度まで広げたいか聞いたところ、「設備的には100ヘクタールくらいまで生産できるので、人さえいれば、いくらでも作りたい。コストを下げ、多収を目指して、売り上げと利益を上げていかないと。そのためには100ヘクタールくらいは目指さないといけない」との答えが返ってきた。
ただ、肝心の人が募集を出してもなかなか集まらない。特に、農業経験者を集めるのは至難の業。少ない人数でより広い面積を管理したい、未経験者であってもきちんと生産できる仕組みにしたいと、田牧ファームスジャパンの実証に協力した。同社が直播だけでなく、自動で水田の水門を開閉する機材や、圃場のセンシングと通信を一体的に行う「フィールドサーバ」を組み合わせた効率化、省コスト化に積極的だからだ。同社は、来年の作付けに間に合うように播種機を開発したいとしている。
100ヘクタールを売り切る能力があり、農地もある。ただ、労働力が足りない。この圧倒的なニーズに、農業技術が追い付く日が近いことを祈りたい。
※注 残りは物財費で、物財費の内訳は農機具費、賃借料、肥料費、農業薬剤費など。農林水産省の農業経営統計調査より
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