Wedge REPORT

2019年7月2日

»著者プロフィール
閉じる

樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

安倍首相しかできぬトランプ説得

 思い起こしてみれば、トランプ大統領の対北朝鮮宥和の姿勢は、昨年の第1回米朝首脳会談の際、すでにみられたというべきだろう。北朝鮮が核廃棄に向けて何ら具体的な約束をしたわけでもないのに、米韓合同演習の中止、在韓米軍の縮小に言及、日本はじめ各国に懸念を与え、その本音への疑念を引き起こした。

 ことし2月のハノイでの首脳会談が物別れに終わったのは、トランプ大統領が、「北朝鮮の全面核廃棄が先決」というきびしい条件に固執したことによるといわれ、トランプ大統領は〝再評価〟されたが、方針転換事実がとすれば、やはりという失望感が各国で広がるだろう。

 北朝鮮への制裁緩和を求める中国、ロシアはもとより、北朝鮮との関係改善に前のめりになっている韓国の文在寅政権も、米国の方針返を歓迎するだろう。そうした状況の中では、日本が孤立してしまうが、その方針に同調することは絶対にできない。

 板門店会談について安倍首相は「日本は米朝プロセスを支持している。今回の会談が進展につながることを期待している」と、そっけないコメントをし、トランプ大統領の〝心変わり〟に失望しているかのような印象を与えた。

 しかし、ここは、むしろ安倍首相が大統領を説得しなければなるまい。首相にしか、その役目はつとまらない。大統領との強い信頼関係、個人的な友情を誇示するのであれば、こういう時こそ、率直にものをいうべきだろう。それができて初めて両者の関係が本物であることが、証明される。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

関連記事

新着記事

»もっと見る