前向きに読み解く経済の裏側

2019年7月22日

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 今回は久留米大学商学部教授の塚崎公義が、宝くじは期待値がマイナスなのに買う人が多い理由を考えます。

 サマージャンボが売り出されて、売れ行きは好調なようです。そこで今回は、宝くじについて考えてみることにしました。

(laymul/gettyimages)

宝くじの期待値はマイナスである

 宝くじを買った人全員について、儲けと損を全部合計したらどうなるでしょうか。調べなくても考えればわかりますね。買った人が払った代金の中から宝くじ発行のための費用等を差し引いて、当選者に賞金を払っているわけですから、買った人全員の損得を合計すればマイナスに決まっています。

 これを「期待値がマイナスだ」と言います。期待値というのは、数学的には当たる確率と当たった時の奨金額を掛け合わせて、購入代金と比べるわけですが、直感的に言えば「平均すると払った金が戻ってくるのか否か」、ということですね。

 期待値がマイナスだということは、買うと損する可能性が高いわけですから、宝くじを買うことは合理的でないように思われます。それでも宝くじを買う人が多いのはなぜなのでしょうか。その理由は「錯覚」と「夢」だと考えます。

人間は、非常に小さい確率は実際より大きく感じる

 行動経済学という心理学と経済学の融合分野が最近注目されていますが、それによれば人間は非常に小さい確率を実際より大きく感じるものなのだそうです。飛行機に乗るのが怖い、という理由もそれだそうです。

 「100万分の1で死ぬ危険な仕事がある。いくら払えばやってもらえるか?」と聞かれたら、怖いですから、かなり高い金額を要求する人が多いでしょうね。では、100万分の10だったら10倍の金額を要求するかというと、そうでもないでしょう。

 「あなたの今の仕事は確率100万分の500で死ぬ危険なものだ。来年は100万分の501で死ぬ仕事を頼みたいが、いくらの賃上げが必要か」と聞かれても、誤差の範囲だと感じるかもしれませんね。

 したがって、宝くじを買う人は、実際の当たる確率より高そうに感じる「錯覚」に陥っているのだ、というのが理由の一つなのでしょう。

 しかし、宝くじを買うのは非合理的だと言い切る事は出来ません。数百円で夢が買えるなら安いものだからです。

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