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2019年9月30日

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樫山幸夫 (かしやま・ゆきお)

元産經新聞論説委員長

元産經新聞論説委員長。政治部で中曽根首相番、竹下幹事長番、霞クラブ(外務省)詰め、ワシントン特派員、同支局長、外信部次長、編集局次長、正論調査室長兼論説委員、産経新聞社監査役を歴任。2度のワシントン勤務時代は、ホワイトハウス、国務省などを担当、米国の内政、外交など幅広く取材した。

弾劾裁判での有罪、罷免は困難?

 ペロシ議長の調査開始宣言を受けて、米下院の関係3委員会は27日、ポンぺオ国務長官に対し、関連資料の提出、国務省高官の委員会喚問出席などを命じた。

 合衆国憲法では「反逆罪、収賄罪、そのほか重大な犯罪」などに関与した場合、大統領は弾劾裁判にかけられる。下院が過半数の賛成で訴追を決め、上院での弾劾裁判で3分の2が「有罪」と認めれば、罷免される。

 下院は民主党が多数派だが、上院は共和党が過半数以上の議席を維持しており、訴追されても「有罪」の可能性は低いとみられる。

 弾劾手続きに賛成する国民は37%、反対50%という世論調査結果(米政治専門誌)があることもこうした見方の材料になっている。

ディープ・スロート、CIA局員か

 一方、弾劾の行方とならんで、米国民の関心は、内部告発者がだれなのかーーだ。告発状で自ら明らかにしているように、政府職員であることは間違いないとみられるが、米メディアなどによると、CIA(米中央情報局)局員といわれている。ホワイトハウスで勤務しているとの情報もあり、下院の本格調査の過程で、身元が明らかになる可能性がある。

 トランプ大統領は26日、国連総会出席のためニューヨークに同行してきた外交官らとの会合で、「誰が告発者に情報を与えたのか知りたい。それはスパイだ。かつては、スパイと裏切り者は今と違う扱いを受けた」と、内部告発者と、その協力者を恫喝した。

 1972年の米大統領選のさなか、再選めざすニクソン大統領(当時、共和党)陣営の一部が民主党本部に侵入したウォーター・ゲート事件では、当初、大統領は隠ぺい工作にかかわっていたことを否定。しかし、ディープ・スロートがそれを覆す情報をしばしば。米紙「ワシントン・ポスト」の2人の若手記者にリーク。議会が弾劾訴追に乗り出し、1974年7月、下院司法委員会は訴追を決定しため、形勢不利と見た大統領は、上院での弾劾裁判を待たず翌8月に辞職した。

ディープ・スロートはFBI副長官

 大統領の政治生命を奪った情報提供者は、 ディープ・スロートというニックネームを奉られ、その正体は長い間、謎だったが、事件から30年以上たった、2005年になって、事件当時のFBI(連邦捜査局)の副長官、マーク・フェルト氏がその人と明らかになった。

 今回のディープ・スロートは、すぐに特定されて活動が不可能になるのか、それとも大胆にリークを続けるのか、大いに関心をそそられるところだ。

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