2024年11月28日(木)

【中学受験】成功を導く父親の役割

2019年11月6日

 ところが、お父さんはそのことに気づいていません。そして、予定通りにできないショウタくんを叱るのです。できなかったものは土日にやらせ、ショウタくんは息抜きをすることができません。

 一時は反抗的な態度を見せたショウタくんですが、お父さんの理屈に論破され、反抗するのをやめてしまいました。今はすっかり受け身モードで、その顔には精気がありません。

スマホの待ち受け画面は息子
こんなに愛しているのに……

「もっと早く解け」
「あんなにやったのに、またミスをしている」
「こんなんじゃ受からないぞ」

 お父さんは毎日、ショウタくんにげきを飛ばします。冒頭でショウタくんが「お父さんに怒られる」と怯えていたのは、お父さんと一緒に似たような問題を解いたのに、もし間違えてしまったら、また怒られると思ったからでしょう。そこで必要以上に間違っていないか見直しをしているうちに、時間が足りなくなってしまったのです。

 ここまで子どもを追い詰めてしまうお父さん……。でも、お父さんはショウタくんが嫌いなわけではありません。いいえ、ショウタくんのことが大好きなのです。ショウタくんの写真をスマホの待ち受け画面にしているくらいなのですから。

 そして、ショウタくんもお父さんのことが好き。だから、お父さんの期待に応えようと頑張っているのです。しかし、中学受験の勉強は、小学生の子どもの体力と精神力に応じたやり方で進めていかなければ、成績は伸びていかないのです。

頭では理解できるが、自分には置きかえられない

 頑張っているのに、お父さんに認めてもらえない。ショウタくんの表情は次第に暗くなっていきました。こうなってしまうと、なかなか成績は上がっていきません。

 まず、対策として勉強量を減らさなければなりません。子どもが自信を失っているときは、あと少し頑張ればできそうなところを中心に学習をし、それができたら誉めて自信を持たせてあげることが大事です。そのためには、まずお父さんを説得し、理解してもらう必要がありました。

 努力をすれば結果を出すことができる。たくさん勉強をすれば合格できる。ショウタくんのお父さんはそう信じて、ショウタくんにたくさんの課題を与えました。でも、それで結果を出せるのは、精神的に成長している高校生や大人の話であって、まだ発達段階にいる小学生の子どもに同じことを求めるのはあまりにも酷です。やらせすぎは子どもを潰してしまう。そんな話をショウタくんのお父さんにしてみました。

 ショウタくんのお父さんは、私の話を熱心に聞き、「そうですね。その通りですね」と理解した様子を見せます。あぁ、よかった、分かってもらえたのだな。ところが、その後も変わらずショウタくんに無理難題を突きつけます。家庭教師のアドバイスには耳を傾けるけれど、それを“自分事”として捉えることができないのです。


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