【中学受験】成功を導く父親の役割

2019年11月6日

»著者プロフィール
閉じる

菅 隆美 (かん・たかみ)

中学受験専門のプロ家庭教師集団「名門指導会」

名門指導会算数科講師。大手集団塾の主力講師として20年以上の経歴を持ち、難関校も含め中学受験の算数に精通している。中学受験を単なる通過点以上に良い思い出としてもらうべく、一人ひとりにより高いレベルでの成功体験を実現してもらうことをモットーに名門指導会に参画。穏やかで丁寧な指導は親子ともに安心感を与え、難関校受験生のみならず、勉強に困っている子の隠れた能力を引き出し、数多くの合格へと導いている。

(DmitriMaruta / iStock / Getty Images Plus)

「この問題を間違えたら、お父さんに怒られる」

 その答案用紙を見た瞬間、これは相当マズイことになっているのではないかと、事態を深刻に受け止めました。6年生の夏休みの終わりに受けたショウタくんの算数模試の答案が、下半分真っ白だったのです。

菅:「ショウタくん、下の問題は全部分からなかったのかな?」
ショウタ:「ううん(首を振る)。問2の問題で時間がかかっちゃって、残りの問題を解く時間がなくなっちゃったの」

 見ると、その問2はごく普通の問題で、取り立てて難問というわけでもない。

菅:「どうしてこの問題に時間がかかっちゃったのだろう? どこが難しかったのかな?」
ショウタ:「前にお父さんとやった問題とすごく似ていた。これを間違えたら、お父さんは『この問題は前に一緒にやっただろ!』と絶対に怒る。だから、何度も見直したら時間がかかっちゃって……」

 ショウタくんの努力の形跡は確かにありました。答えは正解。それが何よりの救いでした。でも、その後はすべて白紙なので、結果は散々なものでした。

 そして、私は大きな不安を感じました。このままでは本当に取り返しのつかないことになるぞ、と。

どう考えても実行不可能な無理難題を突きつける

 ショウタくんの家庭教師に就いたのは、5年生の夏のことです。ショウタくんは国立難関中学を第一志望校にしていました。4年生のうちは順調だったショウタくん。しかし、5年生になると、徐々に成績が下がり始めます。それを知ったお父さんは、これまでショウタくんの受験勉強にはノータッチだったのに、突然介入し始めます。そこから、ショウタくんの成績はみるみるうちに急降下していきます。そして、5年生の夏に家庭教師にお声がかかったわけです。

 実はショウタくんの成績低迷の原因は、お父さんの存在にありました。ショウタくんのお父さんはマジメで几帳面なサラリーマン。家庭教師である私と話をする時は、とても物腰が柔らかく特に気難しいタイプの人には見えません。ショウタくんのことをとても思っていて、端から見れば“いいお父さん”です。

 ただ、ショウタくんが少し幼いタイプの子なので、「ショウタは自分一人では何もできない。私が引っ張っていかなければ!」と思い込んでいる節があります。それを表すのが、お父さんが作成する「学習スケジュール」です。

 自宅にあるホワイトボードには、毎日の予定がぎっしりと書かれています。塾のある日、ない日にかかわらず、国算理社の4教科はまんべんなく。復習、宿題、それ以外のテキストに載っている応用問題、計算や漢字などのルーティンワーク、テスト直しも全部網羅しているのです。

 でも、これは明らかに詰め込みすぎです。普通なら塾のある日はその日の授業内容の復習だけで手一杯です。塾のない日も宿題を終わらせるだけで大変です。そこにお父さんが指示する学習量を付け加えるのは、どう考えても無理です。お父さんが立てたスケジュールの3分の1がこなせるだけでもたいしたものです。

関連記事

新着記事

»もっと見る