中東を読み解く

2019年10月26日

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トランプの強弁に強い疑問

 プーチン大統領が存在感を高める中、トランプ大統領は「シリア撤退は最大の失敗」(米上院議員)という批判をかわすのに躍起。ソチ合意によって成立した停戦を「米国が生み出した成果だ」と強弁、撤退についても中東の紛争から手を引く「重要な一歩」と正当化した。しかし、「失敗を勝利と呼ぼうと、あくまでも失敗だ」(民主党議員)などと強い疑問が投げ掛けられている。

 トランプ大統領はホワイトハウスでの演説で「なんでも反対する連中はIS戦闘員が放たれるとか、クルド人が虐殺されるとか批判していたが、いまや“なんて凄い成果なんだ。おめでとう”と言っている」と述べる一方、「血塗られてきた砂漠の争いは他の誰かに任せればいい」と米軍撤収の持論を展開、ロシアやトルコの関与を歓迎した。

 大統領はISにシリアの油田を奪われないよう小規模の米部隊をシリア東部に残留させることや、クルド人に油田防衛を行わせる考えも明らかにした。米紙などによると、約500人の部隊が残留、戦車も残すという。

 しかし、大統領が成果を誇示するのとは逆に、ジェフリー・シリア担当特別代表は、ロシアとトルコが合同パトロールする合意は「何も好ましいことを生まない」と述べて疑問を呈し、IS戦闘員100人以上が行方不明になっていると懸念を表明している。

 エスパー国防長官もNATO国防相会議の場で、トルコはロシアと合意したことで、米国や欧州と中東の米同盟国をひどい状況に陥れたと強く批判、大統領との温度差を見せつけた。現地のシリア北部では24日、トルコ軍とクルド人との衝突が起こっており、軍事的緊張と混乱は当分収まりそうにない。

  
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