「動物の福祉」の考え方をフード業界にも
健康で本来の体機能を持ったペットは、今以上に食事を楽しむことが出来るようになります。
前述のように、主食となるフードは、飼育上の手軽さと利便性、余剰な食材の有効利用といった人間の都合で開発されたものです。今後、未知の部分も多い栄養学が進歩し、本当の意味での「総合栄養食」が開発される時が来るかもしれません。ペット用の様々なおやつや飲み物などは、飼い主の都合で買い与えるものでしかないかもしれません。「そんなものはペットには必要ない」という意見があるのも確かです。「生きるため」には、必要なカロリーと栄養素をバランスよく摂取していればそれで十分なのでしょう。
しかし、人間は食事を楽しむことが出来る生き物です。季節を感じたり、特別な日には様々な食材を使ってお祝いもします。同じ時間を過ごす仲間と共に味わい楽しむことは、その相手に対しての愛情表現なのだと思います。
その相手がペットであっても、愛情は配偶者や子供に向けられるものと遜色ないと感じます。注意したいのは、相手について正しい知識を持ち、無理なく与えるということです。これは人間の子供や自分に対しても必要なことですので、当たり前に行えるはずです。
最近ではペット用の手作りレシピなども多く作られており食材の使い方やカロリー計算の方法、害になる食材などの情報も手軽に検索できるようになっています。また、メーカーも同じ意識を持ち、安全・安心な商品と給仕方法を提供するようにして行くべきです。「ペットフード安全法」も、業界側の自主規制が功をなし法制化された経緯もありますので、さらなる高みを目指して頂きたいと考えます。
愛玩動物の社会的認知が進み、一緒の時間を共有する家族も少しずつではありますが増えているようです。この共存関係をより良いものとするために大きな役割を持つのがペットフードなのです。
健康な毎日を支え、時には家族のうれしい行事も共有させてあげられる食べ物の世界。作る側も購入する側も、動物の福祉を共通認識として利用していくことが互いの利益を生み出すことになるのではないでしょうか。
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