瀬戸内海の観光コンテンツを紹介
岡山県玉野市にある観光プロモーションの一般社団法人の玉野コミュニティ・デザイン(京谷潤代表理事)は、これまで自前でヨットクルーズ、無人島での1日1組限定キャンプ場など観光コンテンツをインバウンド向けに販売してきたが、認知度が低いため思うように集められなかった。
玉野市の沖にある瀬戸内海の直島(なおしま)や豊島(てしま)は外国人芸術家が作品を展示している「アートの島」として有名で、これを見るため毎年国内外から50万人を超える多くの観光客が来訪している。今年4月から11月までの期間、3年に1度開催される瀬戸内海の12の島と2つの港を舞台にした「瀬戸内国際芸術祭2019」にはさらに多くのインバウンド客が来訪したとみられている。
玉野コミュニティ・デザインとしてはこうしたチャンスを利用して地元である玉野市にも外国人を呼び込むことができないかと考えて、11月から地域の観光を「ジャパン・ビスタ」のコンテンツとして情報発信してもらうことにした。京谷代表理事は「エクスペリサスの発信力を使って、宇野港のかつての賑わいを復活させたい」と話している。
求められる富裕層対策
18年のクレディスイスの「グローバル・ウエルスアウトルック」によると、世界のミリオネア(金融資産を100万ドル以上所有する富裕層)の41%は米国、次いで中国が8%、日本は3位の7%で人数にして約280万人いるとみられる。このため、今後はこうした富裕層を対象にしたツアーの企画も重要なマーケットになろうとしている。日本では現在、三井不動産が20年春に東京・大手町に建設するオフィスビルに「フォーシーズンホテル」、同年夏に京都・二条に建てるビルに高級ホテルがそれぞれオープンする。
星野リゾートが富裕層を意識した高級ホテルを今後、各地に新設、ラグジュアリーホテルで有名なアマンホテルが11月1日に京都に超高級ホテルをオープンするなど、富裕層を狙ったホテルなど宿泊施設は徐々にできてきている。
しかし、宿泊だけでなく、本物の日本文化触れられる体験ができるイベントを組み込んだツアー企画は未開拓のままだ。エクスペリサスはこの市場にいち早く先鞭をつけ、ブランド力をつけようとしている。目の肥えた世界の富裕層に対して満足できる日本の伝統文化を伝える貴重な体験をしてもらえることができるかどうか、同社の企画力が問われている。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。