Wedge REPORT

2019年12月3日

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イラスト:マグマ・ジャイアンツ

 日本の中古住宅市場には消費者と業界の間に情報の非対称性が存在する。そのため、消費者には中古の資産価値が見えづらく、中古が物件購入の選択肢に入らないことが多かった。消費者が中古市場にアクセスしやすい環境に改善するためには、物件情報が消費者に開かれる必要がある。

 同時に、中古の住宅としての価値の向上も重要だ。中古をリノベーションすることで再生させたり、社会問題となっている空き家に価値を見いだし、従来と違った住み方で活用させたりするサービスも生まれている。これらの両輪が回れば、市場はより活性化するだろう。

クローズされた業界を打破せよ
ビックデータ活かし情報発信

 情報の非対称性という問題に対し、物件情報をできるだけ多く消費者に提供することで、仲介サービスの拡大を狙う企業が増えている。不動産ベンチャーのマンションマーケット(東京都千代田区)は、仲介業務の傍らで、マンションの市場価値がわかる無料検索サイトを運営する。国内約11万5000件の中古マンション情報に加え、物件の過去の売り出し価格や、当該物件のあるエリアの物件相場などが閲覧できる。こうした情報は物件売却の際にも、価格決定の参考になる。

 通常、不動産サイトには現在の価格が表示されるが、マンションマーケットでは近隣物件の販売開始時の価格など、一般に公開されているデータをあらゆるサイトや情報源から自動で取り込み、蓄積している。これによって利用者は、物件の過去の価格の目安もつかめる。無料登録すれば誰でも使えるため、今や月40万人が訪問するまでになった。

 2014年よりサイトを運営する代表取締役の吉田紘祐氏は、不動産業界の情報の非対称性についてかねてから問題意識を持っていた。「あらゆるものがネット検索できる時代に、消費者に公開されない情報が多く、業界の中でクローズされている。不動産会社にとっては、消費者が知恵をつけてしまうと困るという面があるのかもしれない。情報の非対称性によって、事業者だけが有利な状況に立つという不健全な業界慣習を、少しでも打破しようとサイトを立ち上げた」。

 ただし、表示される過去の価格や査定額は、あくまで公開情報や、同社の持つ情報を活用した推定値にすぎない。吉田氏は「現在は公開価格ベースで判断しているため、実際の成約価格を用いて精緻化したいが、宅建業者のみ閲覧できるレインズ(不動産流通標準情報システム)上でしかその情報は見られないので、一般の利用者向けに開示ができない」という。より多くのデータが開示されれば、サービスの向上も期待できるだろう。

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