薬剤師から現役選手まで、オーナーはさまざま
チームオーナーも、商工会議所、NPO、会社経営者、Bリーグの現役選手など様々。選手もプロ契約ではあるが、試合や練習に参加するごとに数万円支払われる程度。プレーヤーで最も多いのがBリーグの現役選手(3割)で、残りは別に本業を持ったまま、参加している。
「TRYHOOP(トライフープ)岡山.エグゼ」のオーナー、中島聡さんは元々、薬剤師だ。大学院を中退してプロ選手を目指したという中島さんの背中を押したのは、運営するバスケスクールを通じて聞こえてきた「岡山にもバスケのプロチームがあったらいいのに」という子どもたちの声を聞いたからだ。
15年から参入し、試合会場として岡山駅前のイオンモールを選んだ。1階にあるインベントスペースは4階まで吹き抜けで、上からも観戦することができる。延べ6万人以上の集客となり、最初の16年こそ持ち出しで会場を借りたが、翌年以降はイオン側が試合の誘致権を購入してくれたうえで、会場を無償で貸し出してくれている。
ただ「3x3」の試合だけだと公式戦、イベント合わせても年数回しか行うことができない。試合を通じた接点を増やすために、19年シーズンからはBリーグのB3に参入した。「そうすることで年間30試合は地元で開催できます。認知度も向上してきて、おかげさまでスポンサーも85社にまで増えました。岡山から日本一を目指したいです」と中島さん。
「鳥取をアップデートする」。スポーツを通じて地域をより良くしたいという思いで19年から参入した「鳥取ブルーバーズ.エグゼ」。運営にあたっては、地元の高校生たちをインターンシップとして採用した。放課後を中心に、地元企業に営業に回るなどしている。
現在のスポンサーは10社程度。「皆さん、どんなものだろう? と様子見でしたが、実際に鳥取駅前で試合を行うことができました、鳥取砂丘でプロ選手によるバスケ教室も行いました。『3x3』がどんなものか分かったことで、別の高校からの関心も高まっています」と、オーナーの宇佐美孝太さんは来シーズンに向けて手ごたえをつかんでいる。
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Part 3 先進事例に学ぶ 「おらが街のチーム」の作り方
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