オモロイ社長、オモロイ会社

2020年1月7日

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杉浦佳浩 (すぎうら・よしひろ)

代表世話人株式会社代表

三洋証券株式会社入社(昭和62年)。鹿児島支店にて勤務。地元中小企業、個人富裕層の開拓を実施。 日経平均最高値の2カ月前に退職。次に日本一給与が高いと噂の某電機メーカーに転職。埼玉県浦和にて、大手自動車メーカー、菓子メーカー、 部品メーカー等の主力工場を担当。 退職時は、職場全員から胴上げ。そして、某保険会社に20数年勤務後、平成26年末に退社。在社中は、営業職、マネジメント職を経験して、リテール営業推進、若手人財育成を中心に担当していた。 社外の活動も活発に行っていた。平成27年1月1日、代表世話人株式会社を設立。
同社代表取締役に就任。世話人業をスタート。

社内全員の反対をおしきり1人で開発

打鍾する山本社長

 Chatwork社(旧社名:EC studio)は2000年に創業してから2004年に設立後、集客支援SEOツールの提供、ソフトウェア販売事業、IT関連のコンサルティングの3つの事業を柱としていました。しかし、IT業界が目まぐるしく変化していく中、メイン事業である集客支援SEOツールの提供が徐々に時代に合わなくなっていったそうです。

 そこで、同社創業期からCTOであった山本さんは、次の新しいサービスを作ろうとアクセス解析ツールを開発、リリース後も順調に好評だったそうですが、これが結果的に大失敗となったそうです。それは、とある本に、まずは無料で提供して会員数を増やしてから、有料版をリリースして、有料ユーザーに移行させる戦略が良いと書いてあったので、その通りに実践したら全く有料ユーザーに繋がらなかったと。このツールは撤退するしかなかったと話します。

 撤退からすぐ、その次に何か新しい自社サービスを作らないといけないと思い付いたのがビジネスチャット「Chatwork」だったそうで。それは10年ほど前、チャットはすでにいくつかの会社がサービス提供していた中、山本さんの社内でも他社のチャットサービスを使用していました。

 創業した時から大阪と東京と拠点が別れていたことから、リモートワークを前提とした働き方を実践していました。同社のドメインである「中小企業のIT化」もまずは自らが実践するべきだと考え、ペーパーレス化や、会社に電話を置かないことなど業務効率化に繋がる取り組みを積極的に行っていきました。

 その中で、最も依存しているツールって何だろう? と考えたときに「チャットツール」だと思ったそうで、当時、社内で使っていたチャットサービスは、ビジネス向けに作られていないために使いにくいことを感じていました。例えば、相手がオフラインだと届かないことや、ファイルを共有できない、コミュニケーションの検索することができないなどです。こういったことから、ビジネス向けのチャットツールを作れば中小企業の業務効率化に繋がるツールになると思ったと話します。

 しかし、社内で事業化を前提に開発提案をしたところ全員の反対にあい、却下されてしまいました。以前のアクセス解析サービスが失敗したばかりなのに、すぐにまたチャレンジングな事業提案したので当然のことだったと当時を振り返る山本さん、ただ、どうしてもやりたくて役員ひとりひとりを呼び出し、説得したそうで、そこから社内システムならいいよとOKをもらいましたが、その代わり一人でやるようにと言われ、一人で開発をスタートするに至ったそうです。

ビジネスチャットの普及とマーケット戦略について

 2011年3月に誕生した「Chatwork」、この当時は、ソーシャルメディアが台頭し、ビジネスチャットという言葉になかなか馴染みがないことからほとんどがビジネスチャットに注目しておらず、しばらくの間は苦戦した時期もあったそうです。

 しかし、その直後に「LINE」の普及が一気に進むことで、多くのユーザーがチャットの利便性に気付きはじめました。そのおかげもあって、ビジネスチャットとしてのChatworkにも注目が集まるようになり、そこからは右肩上がりに順調に伸びて現在では、導入企業24万6000社以上(2019年12月末日時点)まで成長するに至ります。

 同社がこの件数を伸ばすに大きな下支えになったのが、非ITマーケットへのアプローチ。士業、介護、建設を中心とするITとは遠い業種に注力していきました。それはツールとしてのChatwork以前より「中小企業のIT化」を事業ドメインに定めてビジネス展開していたので、ターゲットとしてはITに詳しくない人でも使いやすいように設計することを当初より意識していたそうです。日本の労働人口において大多数を占める中小企業がIT化することが、社会的にも意義が大きいと考えていたからこそ見事な展開へと繋がったと感じます。

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