From NY

2020年1月13日

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田村明子 (たむら・あきこ)

ジャーナリスト

盛岡市生まれ。1977年米国に単身留学し、1980年から現在までニューヨーク在住。著書に『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)、『知的な英語、好かれる英語』(生活人新書)、『女を上げる英会話』(青春出版社)、『聞き上手の英会話』(KADOKAWA/中経出版)など。翻訳書も多数。フィギュアスケートライターとしても知られており、『挑戦者たち-男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』(新潮社)で2018年ミズノスポーツライター賞受賞。

 ようやく見つけたテイクアウトを扱ってくれるお店は、「すしざんまい」だった。きちんと英語で対応できる店員さんが、彼の注文をとってくれたのを見届けて、我々も席に着いた。彼はようやくホテルで待っていた友人にお寿司を持ち帰ってあげることができただろう。たまたま筆者が居合わせなかったら、彼らはきっと日本に対して苦い思いを抱えて東京を後にすることになっただろう、と思う。

 築地のような観光地の寿司屋のほとんどは、外国人観光客にビジネスを支えられているはずだ。ダメならダメで壁に「No Takeout」の注意書きくらい貼っておくのが、親切というものである。

タトゥーお断りの公衆浴場

 最後に、これも何度も日本のマスコミで取り上げられてきた、銭湯、温泉での「刺青、タトゥーお断り」のルールである。

 国や文化によっては、刺青がその民族のアイデンティティだったり、名誉の証になることもある。また今では若い女性の間でも、ファッションタトゥーがピアスと同じくらい一般に浸透している。

 いったい日本社会はいつまで、刺青イコール暴力団関係者と一からげにして締め出していくつもりなのか。

 筆者は個人的には刺青にもタトゥーにも全然興味がない。でも出入り禁止にするからには、1)他者に危害を加える危険がある。2)衛生上の問題がある。といったような、実害を伴った理由がなくてはフェアではないと思う。

 外国人などどう頑張っても組関係者ではないことは明白なのに、とにかくルールはルール、刺青はお断り、という頑なな態度は先進国として情けないことだ。

 個人的に言わせてもらえば、腰まである長い髪を泡だらけにしてそこらじゅうに泡を飛び散らしながらシャンプーしている女性、あたり構わず、大声でおしゃべりを続ける人たちのほうがよほど迷惑だと思うのだけれど。

 刺青=おそらく暴力団=治安が悪くなる=周りの客を不安にさせる、という回りくどいルールはいい加減やめにして、いっそのことはっきりと「暴力団関係者の出入りお断り」と書いたらどうなのか。

 「反社会的な行為、他人に迷惑をかける行為はすぐに通報します。妥協はしません」というルールにすればいい。

 東京オリンピックを機会に、政府は日本をさらなる観光大国にしようと計画している。そのために、何でもかんでも欧米化する必要はない。でも違った文化背景を持つ人々を受け入れる柔軟な心、日本の習慣になじみの薄い相手の立場を理解しようと努力をする姿勢は、ビジネスオーナーたちにとって今年はますます必要なことになってくるだろう。

  
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