From NY

2020年1月13日

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田村明子 (たむら・あきこ)

ジャーナリスト

盛岡市生まれ。1977年米国に単身留学し、1980年から現在までニューヨーク在住。著書に『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)、『知的な英語、好かれる英語』(生活人新書)、『女を上げる英会話』(青春出版社)、『聞き上手の英会話』(KADOKAWA/中経出版)など。翻訳書も多数。フィギュアスケートライターとしても知られており、『挑戦者たち-男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』(新潮社)で2018年ミズノスポーツライター賞受賞。

 2020年も明け、いよいよ夏には東京オリンピック・パラリンピックが開催される。アメリカに移住して40年以上になる筆者は、12月に2週間ほど一時帰国した。その滞在中、オリンピックを機会に日本を初めて訪れる外国人がどのようなところで戸惑うのか、改めて外国人の視点から考えてみた。

(Andrea Chu / gettyimages)

小料理屋での不明瞭会計

 第一に挙げたいのは、高級割烹などで出される請求書だ。ちょっと気取った小料理屋などに行くと、金額だけ書かれた小さな紙切れが請求書代わりに差し出される。でも国際社会のスタンダードとしては、この習慣はとても受け入れられないものだ。

 逆の立場を想像していただきたい。

 ヨーロッパの某国に観光した際に、ちょっと贅沢なディナーを食べたら300ユーロと手書きで書かれた小さな紙切れが、請求書代わりに差し出された。

 前菜、メインディッシュ、ワインがそれぞれいくらでデザートとコーヒーがいくらだったのか、明細が全く書かれていない。端数がないのも、何だか怪しい。

 それでも黙って言われるがままに、納得をして支払いをするだろうか?

 旅慣れた、英語の日常会話くらいできる人ならば、「Can we have an itemized bill?」(明細書をもらえますか?)と聞くだろう。逆に聞かなくては舐められるし、日本人観光客などちょろいものだ、という印象を与えてしまう。

 後に来る同胞の日本人たちのためにも、こういうことはきっちりやっていただきたい。面倒だから、自分たちだけが我慢をすればそれで良い、というものではないのだ。

コハダが一貫1500円?

 日本の特に個人経営の小料理屋、高級寿司屋などでは紙切れどころか口頭で金額を伝えられることもある。そこであれこれ聞こうものなら、無粋なお客ということになってしまうので、黙って支払う。

 実を言えば筆者も1年前の帰国時に、築地のある寿司屋に入って6000円のコースを頼んだ。グラスのビール一杯、こはだ、ゲソの二貫を追加したらお勘定が1万円になっていて、えっと思ったが黙って払った。後で落ち着いて考えたら、あのこはだとゲソは、一貫1500円以上だったことになる。

 一見さんだと、足元を見られたのだろう。いくら海外生活が長い筆者でも、あそこで咄嗟に「明細書ください」とは言えなかった。そこまでの金額ではなかったとはいえ、未だに思い出すと苦い思いがこみ上げてくるし、もちろんあの店には二度と行かない。

 外国人の観光客だって、そのほとんどは一見さんだ。でも飲食関係の方たちにお願いしたい。特に外国人の観光客に出す請求書は、相手が納得できるように明細をつけてあげてほしい。たとえ店側にとって妥当な価格を請求したつもりでも、相手は「やられた」「ぼられた」という気持ちで店を後にするのは、そこのビジネスにとっても長い目で見れば決してプラスになることではない。いまどきは、英語で評価を書き込むことだって可能なのだ。

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