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2020年1月27日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

本当の「沼」は誰か?

 以前説明しましたが、トランプ大統領と支持者は、腐敗した政治家を「沼(スワンプ)」と呼んでいます。沼は悪臭を放ち、ボウフラなどが生息しているからです。トランプ氏は前回の大統領選挙で「沼の水を抜け(腐敗した政治家を追放せよ)」というスローガンで支持者を引き付けました。 

 トランプ大統領は弾劾管理人を率いる下院情報特別委員会のアダム・シフ委員長(民主党・西部カリフォルニア州第28選挙区選出)に、「ごまかしのうまいシフ」とあだ名をつけて、「彼は腐敗した政治家だ」と繰り返し個人攻撃を加えてきました。「シフは沼だ」というメッセージを支持者に発信したのです。

 しかし、昨年11月に下院連邦議会で開催された公聴会における17人の宣誓証言及び今回の弾劾管理人の冒頭陳述を聞く限り、腐敗しているのはトランプ氏の方であると言わざるを得ません。

 例を挙げてみましょう。米連邦議会が承認した同盟国ウクライナへの軍事支援は、言うまでもなく米国民の税金です。ということは、トランプ大統領は税金を利用して、国益よりも再選のために私益を優先したことになります。不正行為を犯したと見られても当然でしょう。

 ウクライナへの軍事支援保留は、同国と戦争中の敵国ロシアにアドバンテージを与えました。20年米大統領選挙においても、16年と同様、ロシアにライバルの民主党候補に関する虚偽情報を拡散してもらいたいというのが、トランプ大統領の本心だからです。

 ロシアにメリットが生まれる政策は、トランプ大統領の選挙と結びついており、表面に出てこない再選戦略といえます。率直に言ってしまえば、トランプ氏は外国政府の手を借りて再選を狙っているのです。こうなると、トランプ氏こそ「本当の沼」と断定できそうです。

  
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