2022年11月29日(火)

VALUE MAKER

2020年5月23日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

ジャーナリスト

千葉商科大学教授(4月から)。1987年日本経済新聞社に入社。フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長などを務め、11年に独立。著書に『2022年、働き方はこうなる』(PHPビジネス新書)など。

 世界一の木樽(だる)で作ったお醤油(しょうゆ)はいつできますか」─。大分県臼杵市に本社を置くフンドーキン醤油には、そんな問い合わせが来る。同社の醤油工場には、ギネスブックに載る高さ9メートル、直径9メートルのヒバ製の木樽があるのだ。

瀬戸内に面した臼杵市内にあるフンドーキン醤油
(写真・湯澤 毅、以下同)

 自然に醤油を醸造する場合、出来上がるまでに1年かかるが、主流は、ステンレス製の樽で温度管理し、人工的に春夏秋冬を繰り返すことで醸造期間を短縮、半年で完成させる。大手メーカーが開発した手法だ。

 ところが「世界一木樽醤油」の場合、3年あまりの歳月がかかるため4年に一度しか造れない。一度に54万リットル、200ミリリットルの瓶270万本分ができるが、人気が高く売り切れる。今も品切れ中で、次の発売は今年5月の予定だ。

 「ステンレス製は、常に洗浄したきれいなタンクでもろみを熟成するので同じ品質のものができます。一方木樽では樽の洗浄はしません。木の中にいろんな菌が住み着いたままです。何年もすると進化した菌が複雑な味、香りを醸し出してくれると思います。時間がよいものを造ることに夢を感じています」と小手川強二社長は言う。

 巨大な木樽を使った醤油醸造は、もともとは先代社長だった強二氏の父の木樽へのこだわりから始まった。「醤油醸造の技術はすでに確立していて、なかなか品質に差が付けられません。そこで昔ながらの木樽での醸造を近代的な工場に取り入れたのです」と小手川社長は振り返る。樹齢400年前後のヒバ材を釘を使わずに組み上げ、金属製のタガで締め付けている。機械式の攪拌(かくはん)装置が付いているだけで、後は自然任せ。屋外に設置されている。

 同じ工場にはひとまわり小さい高さ9メートル、直径6メートルのヒバ製木樽が8本ある。それで醸造した醤油は「八本木樽醤油」のブランドで売る。さらに吉野杉で作った木樽も2本あり、「吉野杉樽天然醸造醤油」と名付けて売っている。国産大豆、国産小麦など材料にもこだわった。

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