Wedge REPORT

2020年2月3日

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 「入団当初から斎藤は先輩たちとの付き合いが、それほど上手いほうではなかった。こんな話もある。1年目の球宴でパ・リーグ他球団の先輩野手がポツンと1人いるルーキーの彼を不憫に思い、数人のメンバーとともに食事の場を設けた。ところが後日、顔を合わせる機会があってもお礼されなかったことに不快感を覚えて以来、口を利かなくなってしまったという話を聞いた。

 ルーキーイヤーもチームメートの某先輩投手から当初は可愛がってもらっていたが、何らかの事情ですぐに距離感が生まれてしまったらしい。プロの世界で生きていく上で非常に大切な人間関係についても、このタイミングで誰かが教えてあげることができれば良かったかもしれないが……。ただ斎藤は頭のいい人間なので割と我が強く、なかなか人に頭を下げられないから先輩を敬うことも元来苦手なのかもしれない」

 放任され続ける中、右肩関節唇損傷の重傷から回復を遂げ、奇跡的にマウンドへ立てるようになるところまで回復。天国から一度、地獄に落ちかけた男は達観していた。好きな野球でメシが食えるのだから、こんな幸せなことはない。たとえ馬鹿にされようとも、やれるところまでやってみようじゃないか――。年齢を重ねるうちに後輩も増え、チーム内ではベテランの部類に入るようになった。先輩に気を使うことが得意ではない斎藤にとって今はやりやすい環境になってきたようだ。

 「何かあると斎藤はネットで批判されるケースが多いが、正直に言って何も気にしておらず逆に『また叩かれてしまいました』と自虐的なネタにしているぐらい。なるほど、そんなことを逐一気にしていたら〝ショートスターター〟なんていう好投しても勝ち星のつかない、特異なポジションに活路を見出す気構えも起きないだろう。あの『鈍感力』は本当に凄いと思う」

どこまで突っ走るつもりなのか注目

 周りの反応を一切気にせず、開き直りを決め込む。それが斎藤の「鈍感力」だ。昨年末に結婚を発表し、生涯の伴侶も得た。生活を支えていかなければならないことからも、周りからワーワー言われようが限界ギリギリまで現役にしがみつくつもりなのかもしれない。

 一歩間違えば危険な方向になってしまうことも考えられるが、周囲に惑わされない斎藤の生き方は良し悪しを別にして異彩を放つ。特に他人の反応に対し、つい過敏になりがちなビジネスパーソンにとっては多少なりとも興味を注ぎたくなるだろう。その「鈍感力」とともに一体、どこまで突っ走るつもりなのか。注目したい。

  
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