2022年8月9日(火)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2020年3月23日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

「トランプ小切手」と「米軍最高司令官」

 前述した「中国ウイルス」に加えて、トランプ大統領が打ち出した家計への小切手を使用した現金給付も、新たな再選戦略とみてよいでしょう。

 米メディアによれば、トランプ政権は米国民1人当たり最大1000ドル(約11万1000円)相当の小切手を送付するというのです。例えば、4人家族(夫婦と子供2人)には3000ドル(約33万3000円)の小切手が送付されます。その内訳は、夫婦にそれぞれ1000ドルと子供1人につき500ドル(約5万3000円)です。

 いわゆる「トランプ小切手」は、家賃や電気代などを支払えない米国民の生活資金を助け、不満を一時的に抑える効果を狙ったものであり、選挙向け小切手といえます。

 さらに、トランプ大統領の演出も看過できません。「戦時の大統領」「目に見えない敵と戦っている大統領」として自分を描いています。その上で、「世界は隠れた敵と戦争状態にある。我々は勝つ」と述べて、新型コロナウイルスと戦っている米軍最高司令官を演出しています。一般に、戦時では大統領の支持率が高まるからです。

 現段階では目途がたっていませんが、新型コロナウイルス感染が収束したとき、「勝利宣言」を行い、再選に向けてアピールしたい意図が透けて見えます。

「豚インフルエンザ」と「緊急テレビ電話会議」

 新型コロナウイルス拡大に直面しているトランプ大統領は、野党民主党に向かって「政治は脇に置いて超党派で乗り切ろう」と呼び掛けています。その反面、民主党大統領候補が濃厚になってきたジョー・バイデン候補に対する攻撃の手を緩めません。

 トランプ政権の新型コロナウイルスの対応のまずさを批判するバイデン候補に対して、トランプ大統領は、「バイデンはオバマ政権の副大統領のとき、豚インフルエンザの担当をしていたが、その対策に大失敗し、米国で1万7000人の死者を出した」と自身のツイッターに投稿し、反論しています。

 加えて、バイデン候補が新型コロナウイルス対策について、国際協調の必要性を訴えると、トランプ大統領は即座にG7の首脳による緊急テレビ電話会議を開催しました。トランプ大統領はバイデン氏の発言に敏感に反応しています。

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