「お茶屋」の損害も甚大
そんな土俵外のトラブルやイザコザを乗り越え、とにもかくにも春場所の15日間は無事終了。会場の大阪府立体育館こそ毎日静まりかえっていたが、テレビ桟敷で見守っていた全国のファンは結構盛り上がったはず。11勝を挙げた朝乃山の大関昇進が決まったこともあり、5月の夏場所に期待する声は多い。
しかし、現状では夏場所を行うとしても、また無観客となる可能性が高い。春場所は前売り券が発売直後の僅か8時間で完売したが、すべて払い戻ししなければならなくなり、損失が約10億円に上ったと報じられた。その上、夏場所も無観客となれば、失われる利益はは単純計算で倍の20億円に膨らむ。
相撲協会から委託を受け、チケットや酒、弁当などを販売している相撲案内所(通称「お茶屋」)の損害も甚大だ。例年なら場所中に賑わう両国国技館周辺のちゃんこ屋、グッズショップなどにも閑古鳥が鳴く。無観客場所がいつまでも続けば、それこそ閉店や廃業に追い込まれるケースも出てくるだろう。
それでも、春場所をテレビ観戦したファンは、観客を入れられるか否かにかかわらず、夏場所を見たいと思ったはず。いまはまだ、無観客でも本場所が開催されるだけでもよしとしなければならない。
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