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2020年3月27日

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出井康博 (いでい・やすひろ)

ジャーナリスト

1965年、岡山県に生まれる。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒業。英字紙「ニッケイ・ウイークリー」記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)客員研究員を経て、フリー。著書には、『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)、『ルポ ニッポン絶望工場』(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人』(講談社+α文庫)などがある。

バブルに沸いた日本語学校

 留学ビザは本来、日本でアルバイトなしに生活できる留学生に限って発給されるのが原則だ。しかし、この原則を守っていれば留学生は増えない。新興国の庶民には、日本への留学に十分な経済力などないのである。そのため政府は留学生の数を確保しようと、あるインチキに打って出る。ビザ申請時に留学希望者から提出される親の年収や預金残高の証明書が、捏造されたものだとわかって受け入れ、ビザを大盤振る舞いするようになったのだ。

 “偽装留学生”の流入で、日本語学校はバブルに沸いた。彼らは低賃金の労働者としても利用できる。日本にとっては実の都合のよい存在だ。

 そんな“偽装留学生”も、コロナ禍によって減少することは間違いない。すでに多くの日本語学校で影響が出始めている。関西地方の日本語学校幹部が言う。

「4月に入学する新入生向けコースの設置を見送る学校が続出しています。(日本語学校が集中する)首都圏では、経営難で売りに出ている学校までありますよ」

 バブルを謳歌してきた日本語学校の淘汰は免れないだろう。さらに問題は、「コロナ後」である。

 東日本大震災の後、政府は留学ビザの発給基準を緩め、“偽装留学生”の急増を招いた。コロナ禍が収束したとき、同じことが起きないとも限らない。

 新型コロナで留学生が減少するのは日本だけではない。世界各国で同様の現象が起きるだろう。ただし、新興国の若者を留学漬けで来日させ、底辺労働に利用する“偽装留学”というシステムは、世界に例を見ない醜悪なものなのだ。

 労働者が必要なのであれば「留学生」として受け入れなくても、真正面から「労働者」として受け入れればよい。コロナ禍は、留学生をめぐるいびつな実態が正常化するきっかけになるのだろうか。

  
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