From LA

2020年3月27日

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問題はCDCと大統領の関係性

 そして2月に発表された21年度の政権による予算提案は70億ドル。つまり、トランプ大統領は確かにCDC予算を削減しようと動いていたが、実際にはそれほどカットはされていない。むしろ19年から20年にかけてCDCの予算は増えている。

 では何が問題だったのか、と言えば大統領とCDCの関係そのもの、と言える。CDCは国から独立した機関であり、独自の権限を持つ。しかし政権内部にはHHS(米保険福祉省)、FDA(米食品医薬局)といった機関があり、しばしばCDCと見解を異にすることがある。今回のウィルス騒動でも、初期にCDCとHHSの確執が報じられた。実際の予算に対する政権の予算案を見ても、政権がCDCを軽視していたことは明らかだ。

 またトランプ政権は2018年にグローバル・ヘルス・セキュリティ・アンド・バイオディフェンス部門のシニアディレクターの職務を解消した。この職務は事実上のパンデミック対策を行うものだが、当時の国家安全保障局の縮小に伴い削減された。テロなどの危険性は9・11から減少し、経済問題に注力して政権を安定させたいという大統領の志向に基づいたものだが、経済を追い求めるあまり安全、公衆衛生の面はなおざりだったのだ。

 もちろんクイック氏が中国に駐在を続けたからと言って、現在の中国の体制から直ちに事実を把握し、米国に協力を要請するのは難しかったかもしれない。しかしこうした小さな事実の積み重ねが中国による米国への不信感を大きくしていた、という事実も否めないのではないだろうか。

  
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